恋とは斯くあるべきである。 (ページ4)

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深夜の学校、除霊体験ページ4

がやがやと喧騒で包まれた教室に足を踏み入れると、一瞬、皆の視線が私に注がれ、すぐ逸れた。しかし、近づいてくるのが1人。薄桃色の髪を後ろで括り、赤い紐がゆらゆら揺れる。柔らかい黄色のカーディガン、赤いリボン。髪より濃いピンク色の双眸はきらきらと輝いている。前髪についたお化けの髪留め。

「おはよお、A。昨日の話、しっかり聞かせてもらうで？」

　そう言ってにいっと笑うのは同じクラスで一番仲がいいと言っても過言ではない、椎名唯華である。
　彼女は剣持くんと仲良くしていることが多く、以前「付き合ってるの？」と聞いたところ、「いやいや！そんなわけないやん！あの剣持やで？」と返されたのは記憶に新しい。恋愛感情はないということだから、今回しぃしぃに相談してみたのだ。昨日の夜唐突にメッセージを送ったにも関わらず、すんなり受け入れ「明日聞かせてもらうで！」と言ってくれてとても嬉しかった。
　しぃしぃはご覧の通り、見事なまでに顔が整っているし、体付きも……うん、すごく良い。なので男子からの人気も高いが、それ以上に一緒にいて楽しいのだ。サボり癖はあるけれど。だからこそ、心の底から二人が恋人でなくて良かった。ほんとに勝ち目がない。

「ほんでほんで？Aが剣持のこと好きになったって、ほんま？」

　にやにやしながらウザったらしく聞いてくるしぃしぃだが、どこか心配しているような物言いだ。そういえば、以前「剣持と付き合う子は可哀想やなぁ」と漏らしていたのを思い出す。当時はどういう意味かを問う気はなかったが、今となっては聞いておけばよかったと若干の後悔。

「うん、ほんとだよ。……一目惚れ、しちゃった」

「え〜！！マジだったん！何で好きになったん？」

　わくわくを隠せないのか、前のめりになりつつ聞いてくる。そこまで面白い出来事でもないけれどと思いつつ、昨日の出来事を軽く説明すれば、しぃしぃはどこが納得したように頷いた。

「あーね、まあ、剣持は初恋キラーやしなぁ。」

　第一印象だけはええから、と呟いて、しぃしぃは何か考えるような仕草をする。うーん、うーんと少し考えた後、瞳を輝かせながらぱっと顔を上げた。

「ええこと思いついたわ！あてぃしがAと剣持の仲が近づくようにしたるで！！」

　声高らかに宣言するしぃしぃに、一抹の不安を拭いきれぬまま「よろしくお願いします……」と言った。