後ろの席の錆丸先輩 ページ9
久々の錬金アカデミー。
ため息をつきながら呪文を唱え、長い長い廊下を渡ってやっと教室の前まで来たが…
『……やっぱ無理!!』
私は、いわゆる不登校だ。
ケミー回収は自主的にやっているけれど、どうしても教室に入ってアカデミー生の仲間と関わるのが苦手。
仲良くしてくれる先輩はいるけど…
しかも、最近同学年の新しい生徒が入ってきたらしい。
もうみんなと馴染んでいるみたいだし、私がこの中に入るのは無理だ…
とりあえず逃げて、行き着く場所は空き教室。
『やっぱりここが一番落ち着くな。でも教室行かなきゃ成績が…私はどうすれば〜!!』
頭を抱えこんだそのとき、
誰もいない暗い部屋の隅で、突然ガチャンと物音が鳴り響いた。
『え…だ、誰かいるの…?』
音の方へ向かうと確かに人がいて…
「…鶴原錆丸。そっちこそ誰だよ、自分から名乗れ。」
『う、うわぁぁぁ!!』
「あ…あの、びっくりさせて…ごめんなさい。これは、その…!」
『え…えっと…?今、何て言いましたか?ごめんなさい、よく聞こえなくて…』
お互いに目を合わすことも出来ず、言葉に詰まってあたふたしてしまい…
とりあえず一度落ち着いて話すことにした。
どうやら彼も人が苦手で、代わりにAI、アイザックを使って喋ることが多いらしい。
『そ、その…私、昔からなんにもできなくて、ドジとかバカとか言われてきて、極端に人が嫌になって…』
『こうして今も空き教室に閉じこもってるんです。』
「超わかる。人って何考えてんのかわかんねぇからやなんだよなぁ…お前、前の席派なのか。こっちは後ろ派だ。」
あまりにも本人とアイザックのギャップがありすぎて何考えてるのかわからないのはそっちなまであるが、彼と私は意外と共通点も多いようで。
「お前もコミュニケーション取るのに無理すんなよな。今の時代、俺みたいにAIだって喋れるんだし。ま、やりやすいようにやればいんじゃね?」
『あ、あの!ありがとうございました。普段は言えない本音とか話し合えて、ちょっと気が楽になったかも…』
「…こちらこそ。調子に乗って偉そうなこと言っちゃったけど、自分も話すのが苦手で…」
「えっと…会話って緊張するけど、一緒に頑張ろうね。」
『はい…!錆丸…先輩!』
「せ、先輩…?!あ、ありがとう…」
そう言って素早く立ち去っていく彼は、さっきよりも何倍も笑顔で足取りも軽く感じた。
これは二人だけのコミュニケーション。
44人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
91Pa231(プロフ) - *桜もち。さん» こちらこそ承認してくれてありがとう!😉そう言ってもらえて嬉しい〜💕💕また更新再開できるように頑張ります!! (12月17日 19時) (レス) id: fff66b8b3b (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - イベント参加ありがとう〜!素敵な作品に参加して貰えて、より特撮界隈が盛り上がりそう✨✨✨個人的に『課題をクリアしていこう!』が毎週末課題をやる時のモチベになってます!!!これからも更新楽しみにしてるね〜!✨ (12月17日 19時) (レス) id: 17da285f26 (このIDを非表示/違反報告)
91Pa231(プロフ) - *桜もち。さん» わぁぁあ天才だなんてとんでもないです!!😭😭もはや私がカグヤ様を書きたかっただけなのですが…喜んで頂けたならとても嬉しいです💞💞ありがとうございます! (11月14日 22時) (レス) id: fff66b8b3b (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - カグヤ様の大量供給ありがとうございます………!!!そうですこれが欲しかったんです………!!!!!主様天才ですか??? (11月14日 9時) (レス) id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
91Pa231(プロフ) - スズさん» そう言っていただけて嬉しいです🥰こちらこそありがとうございます…!✨️カグヤ様のキャラが好みに刺さりすぎました💘 (11月9日 20時) (レス) id: fff66b8b3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:91Pa231 | 作成日時:2023年9月3日 19時