いつもの場所の戦士 ページ5
放課後、誰もいない公園で一人。
ブランコに揺られ、空っぽのカードを見つめる。
『はぁ、今日もダメだったよ。私向いてないのかな…』
錬金アカデミーでのケミー回収。
マルガムに勝負を挑むも、全く歯が立たずに逃げ出してしまった。
"あの人"のところにも行かず。
「おい、」
後ろから声をかけられて、反射的に振り返る。
「なんだ?あの無様な戦いは…美しくないな。」
『ヴァルバラド…!!どうしてここに?』
「お前がいつまで経ってもいつもの場所に来ないからだ。こんなところで何をしている?」
彼は黒鋼スパナ。
錬金アカデミーの卒業生であり、超A級の錬金術師。
ヴァルバラド…というのは彼の作った対マルガム用強化スーツ。
彼に憧れて、放課後にこっそり戦闘の場を見学させてもらったりしている。
まあ、私は自称弟子みたいな感じ。
「何があったのかは知らないが、サボるのは正しくない。直さなければ。」
「第一、俺について行きたいと言ったのはお前の方だ。それをすっぽかすだなんて、人としてどうなんだ?」
『うう…ごめんなさい。でももう私、疲れちゃった。』
『だって、毎日学校に通って、錬金アカデミーにも通って、放課後はケミーを回収したりヴァルバラドのところに行ったり宿題もあって…もうダメかも。』
つい弱音を吐いてしまった。
誰かに褒めて、慰めてほしい。
努力すらできていないのにそう思うのは贅沢だろうか。
「…そうか。ならばもう錬金術師はやめたらどうだ?」
『えっ…』
「それがお前を縛っているんだろう?それは笑えないジョークだ。忘れてしまった方が幸せになれる。」
彼の口から飛び出してきたのは意外な言葉だった。
ついに痺れを切らされただろうか。
『ま、待って…!私、これからはもっと頑張るので、だからどうか、見捨てないで…』
引き止めると、彼は一枚のカードを差し出した。
『え、さっき逃したマルガム…倒してくれたんですか?!』
「ヴァルバラドのような強化スーツを作って戦いたい、確かそう言っていたな。…頑張れよ。」
それだけ言い残して立ち去る彼。
その背中を見て、届くかもわからない声で呟いた。
『弟子なんて認めない、勝手にしろ、と言う割には…気にかけてくれて嬉しかったです。』
『もう少しだけ、ケミー回収頑張ってみようかな。』
諦めなければきっと見つかるはずだ。
二人だけの美学が。
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91Pa231(プロフ) - *桜もち。さん» こちらこそ承認してくれてありがとう!😉そう言ってもらえて嬉しい〜💕💕また更新再開できるように頑張ります!! (12月17日 19時) (レス) id: fff66b8b3b (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - イベント参加ありがとう〜!素敵な作品に参加して貰えて、より特撮界隈が盛り上がりそう✨✨✨個人的に『課題をクリアしていこう!』が毎週末課題をやる時のモチベになってます!!!これからも更新楽しみにしてるね〜!✨ (12月17日 19時) (レス) id: 17da285f26 (このIDを非表示/違反報告)
91Pa231(プロフ) - *桜もち。さん» わぁぁあ天才だなんてとんでもないです!!😭😭もはや私がカグヤ様を書きたかっただけなのですが…喜んで頂けたならとても嬉しいです💞💞ありがとうございます! (11月14日 22時) (レス) id: fff66b8b3b (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - カグヤ様の大量供給ありがとうございます………!!!そうですこれが欲しかったんです………!!!!!主様天才ですか??? (11月14日 9時) (レス) id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
91Pa231(プロフ) - スズさん» そう言っていただけて嬉しいです🥰こちらこそありがとうございます…!✨️カグヤ様のキャラが好みに刺さりすぎました💘 (11月9日 20時) (レス) id: fff66b8b3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:91Pa231 | 作成日時:2023年9月3日 19時