． ページ5
.
高校一年の春、俺はAに夢中になった。
入学初日、隣の席に座ったAは胸元ぐらいまでのツヤツヤな黒髪と、スヌーピーのぬいぐるみが一つついたリュックで俺の目を奪った。
話しかけよう、そう思いながら1日が過ぎた。そして少し話せるようになった男子から「Aちゃんってめっちゃ可愛いよな。でも一個上と一個下に幼馴染のボディーガードがいて、彼氏いたことないんだぞ」と言われた。
そいつはAと同じ小学校中学校だったらしい。
「そりゃもうイケメンな2人で、Aちゃんに惚れてる男は告白する前にその2人のとこに行かなきゃいけないって文化だったんよ。当たり前のように告白させてもらえないんだけどね」
当たり前のように怖すぎる文化を話すそいつが怖くなった。
しかも話を聞き続ければ、その一個上のボディーガードはこの高校にいるらしかった。
その話を聞いて隣の席のあの人とこれから関わることはないだろうと覚悟した。
「松村君だっけ？よろしくね！」
そんな俺のちっぽけな覚悟は次の日に壊れた。
話しかけられたら怖すぎるボディーガードの存在はすっかり忘れた。
「松村北斗です。よろしくお願いします」
俺の名前を聞いてニコッとしたAとそれからいろんなことを話した。
好きな食べ物を話し合って、この高校に来た理由を聞いた時に俺の背筋は冷えた。
「幼馴染がいてね、一個上なんだけど。その人がここに通ってるからきた」
あと制服も可愛かったしねと話すAは正直に言えば可愛かった。怖いボディーガードがいようとこの人のことをもっと知りたいと思った。
もうこの頃には好きだったんだと思う。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yurima | 作成日時：2023年10月25日 18時
