． ページ16
．
「でも別に、Aと付き合いたいとか、そーゆー事がしたいとか思ったことないの」
「うん」
男なら誰でも憧れるであろう、彼女とか、そーゆー行為とか。
俺は人並みに女の子と付き合ってきたけど、俺の知ってる限りでは慎太郎は高校生の時に付き合った1人しかいない。
「ただ、ただ、幸せでいて欲しいのよ」
ちょっとだけ泣きそうな目で普段はブランコの囲いに腰掛けてる慎太郎が今日はブランコをキイキイ言わせながら揺られてる。
ちょっと泣きそうなのに、すごく幸せそうで。
俺にはわかんない感情。
そんな綺麗な恋したことないわ。
「Aが幸せでいてくれるなら、樹とやらに任せる。でもさぁ、俺たちが守ってきたお姫様なんだよAは」
「樹とやらって。まあそうだね」
Aといる時は樹君って呼ぶのに、俺とふたりだと絶対呼び捨て。
ちょっとした敵対心は持ってるらしい。
俺が高二、Aが高一、慎太郎が中三のとき、Aに彼氏が出来た。
あの子は俺ら2人のことを純粋な幼なじみだと思ってるから、嬉しそうに報告してきた。
涼しくなった10月の夕暮れの公園で、俺はピノ、Aはアイスの実、慎太郎はチョコモナカジャンボを食べてた時の話。
それを聞いた慎太郎の顔は俺の中で一生忘れられないと思う。
この世の終わり、を必死に隠そうとえ！すごい！リア充じゃん！と言った慎太郎の顔。
その一週間後、俺も彼女出来たと言ったのは慎太郎だった。一応受験生だったのに。
その1ヶ月後、女の子ってよくわかんねーから別れちったと言ったのも慎太郎だった。
Aはそれを聞いて慎太郎っぽいと笑った。
多分本人は気づいてないけど、あの時の空気は死んでた。
Aは付き合いだした彼と高校卒業ギリギリまで付き合った。
それから3人で恋バナをするとき、慎太郎は女の子ってムズいねとしか言わなくなった。
「女の子ってムズいじゃん。俺よくわかんない」
「の割にAのこと一番知ってるの俺だって思ってるでしょ」
「思ってるよ。だって一番見てきたもん」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yurima | 作成日時：2023年10月25日 18時
