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「樹的にはどれが良かった？」
「俺はAの好きなやつでいいと思うよ」
「何それ」
ピキって音がするくらいにAの顔が変わった。
やってしまった。
「2人の結婚式だよ。私だけが楽しんでるみたいでなんか嫌だ。」
「ごめん」
「もっかい聞くね。樹はどのドレスが良かった？」
「俺は最初のドレスが一番Aの綺麗さが際立ってて良かった」
そう言うとAの怖かった顔がゆっくりとほぐれていく。
良かった。まじびびった。
社会人二年目からは同棲して結婚も視野に入れた。
家に帰ればいつだってAがいる生活は幸せすぎておかしくなりそうだった。
料理上手なAの作るカレーは信じられないくらい美味しかった。
「A、結婚してください」
付き合って六年の日にちょっといいレストランに行った時にプロポーズした。
その日のAは綺麗にワンピースを着ていてすごく綺麗だった。
俺の言葉を聞いたAはポロポロと涙をこぼして、断られるか不安になった。
付き合って六年でAが泣いてることなんてほとんどなかったから。
「私でいいの？」
「Aがいいの」
「嬉しい」
指輪をはめてレストランに隠してもらってたバラの花束を渡した。
１２本のバラ。「私の妻になってください」
ポロポロ泣きながら花束を抱えて指輪を眺めるAは綺麗すぎて、ほんとにこの人と結婚できるのか怖くなった。
「樹、ありがとう」
「幸せにする」
「嬉しい」
「なんでニヤニヤしてるの？」
「ニヤニヤしてる？」
「うん」
俺の顔を覗き込むA。
こんな可愛い子が街中にいたら危険だよ。
「なんか買い物行く？」
「もうこーちとジェシーのとこ行かなきゃだよ」
「そっか」
これから4人で飯行くんだった。忘れてた。
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作者名：yurima | 作成日時：2023年10月25日 18時
