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「ほしきっ！！！」
助けなきゃ、助けなきゃなのに、時間が止まったみたいに、動くことができない。
「お前なにしてんだよ！」
聞き馴染んだ声に身体がびくっと跳ねる。
そのあとすぐおじさんが地面に倒れていた。
「お前こいつになにしたかわかってんのかよ！」
おじさんの胸ぐらを掴む湧がいた。
「Aもうだいじょうぶ、こわくないよ」
うっちーが倒れていたももを起こして強く抱きしめる。
「そうたっ、」
うっちーの胸で泣き出すもも。
「痛かったね、帰ったらこおりしよ？ね？」
「うん、あ、ほしき、ほしきは？」
泣いていたももが俺の名前を呼んだ。
「星輝いるよ」
うっちーが俺を手招きするけど、近づくことができない。
「星輝おいで？」
俺を見つけたももが手を差し伸べる。
ももが優しく微笑むから、震える手でその手を掴んだ。
手を引かれて、気づけばももの胸の中、
「こわい思いさせてごめんね」
「…なんで、なんでももちゃんがあやまるの、俺が、」
「言わないの」
頭を優しく胸に押さえられて、その先は言うことができなかった。
怖かった、助けらなかった自分が苦しかった、悔しかった、なのに、涙は出なかった。
それは、あんなにこわい思いをしたももが、湧とうっちーの前では泣いても、俺にはお姉さんな顔を見せるから、そのことが自分はももにとって子どもなんだと、そう思わせたから。
そしてそのことに、少し傷ついたのは、俺の初恋がももだったからで、俺はももを助けるスーパーヒーローでも王子様でもないと思い知らされたんだ。
しばらくしたら大人の人たちが来て、そこに皇輝も一緒にいた。
「星輝、」
心配そうな皇輝の顔。ほんとはもものところに駆け寄りたいだろうに、皇輝は俺のことをぎゅっと抱きしめた。
ぽんぽんと背中を撫でられる。
そのとき、やっと、涙がこぼれた。一度流れてしまったら止めることはできなくてわんわんと泣くことしか出来なかった。
「皇輝っ、おれっ、なにもできなくてっ、ももちゃんのこと助けられなくてっ、俺、俺もっと大きくなって、次はちゃんとももちゃんのこと、助けたいっ、あんなやつぶっとばしてやりたいっ」
「そうだね…まあ次があったら困るんだけど」
わさわさと俺の頭を撫でる皇輝の手がいつもより大きく感じた。
ねえもも？今の俺なら、今度こそ、もものこと助けられるのかな？
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あんな(プロフ) - 楽しみに読んでいます。 (2023年1月25日 22時) (
レス) id: 2a8575220a (このIDを非表示/違反報告)
あん - いつも楽しみにしてます。これからも頑張ってください!!応援してます!! (2022年6月5日 20時) (レス) @page35 id: 4011f316a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみこ
| 作成日時：2022年1月27日 19時
