お姉さん飼いはじめました (ページ5)

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俺も制服に着替えてAちゃんを呼んだ。

｢Aちゃん行くよー」

｢まって！」

オフィスカジュアルに着替えたAちゃんがスリッパをぱたぱたとさせて急いで俺の元にくる。
今日はスカート、うん、今日もかわいい。

｢忘れ物はないですか？」

｢大丈夫です！」

ぴしっと敬礼をするAちゃん。

｢スマホは？」

｢はい！」

｢お財布は？」

｢えっと、…ある！」

｢薬はもった？」

｢え、あれ、ないかも…まってて！」

部屋に戻ってまたぱたぱたと戻ってくる。

｢朝飲んだの？」

｢、うん、ちょっと」

｢そっか」

責めることはしない。でも薬を飲むくらいつらいなら言ってほしいし、会社休んじゃえばいいのに、そう思うけど、その言葉ひとつひとつがAちゃんのプレッシャーになる気がして、言うことはできなかった。

｢行ける？」

｢、うん」

玄関を開ける前に両手を繋いで深く深呼吸。
今度はぎゅーっと抱きしめて少し震える手を繋いでドアを開けた。

｢日差しつよいね、」

眩しい太陽を見上げるAちゃん。
寒いのは苦手、暑いのも苦手、そう言っていた。程よいクーラーの効いた部屋でねこみたいにまるまってる生活がほんとは似合うのに、

｢将来はそうさせてあげるからね！！」

ぎゅっと手を握れば｢ん？」と首を傾げる。

｢Aちゃんは俺のペットだもんね」

｢ふふ、ちゃんとお世話してください」

へにゃと笑うAちゃんがかわいくて、頭をぽんぽんと撫でた。

今は会社に行けるAちゃん。でも出会った時は壊れてしまいそうに脆くて、会社に戻った今でもこうして毎日手をつないで駅まで向かった。

｢Aちゃんいってらっしゃい」

｢うん、光輝くんも、いってらっしゃい」

反対の電車。ドアが閉じるまで、電車が見えなくなるまで手を振って、自分が乗る電車が来るのを待った。

｢あつ、」

思わず声に出してしまう。まだ春なのに今日は日差しが特別強かった。
Aちゃんと出会ったころはあんなに寒くて、外は雪が降っていて、薄暗い部屋で、Aちゃんの存在を確かめるように、ここにいるよと教えてあげるように、愛し合った、