どうしよう逃げられない ページ10
まぁ、寮も違うし合同授業だって魔法史と薬草学くらいしかないし関わることなんかないか
常に友達と一緒にいたらさすがに来れないだろう！
「やぁ、隣いいかな」
なんて思ってた時期もありました
なんてこった、魔法史がある今日に限ってマートルが病欠するなんて…
しかもそれを狙ってたかのようにトムリドルはくるし
変に距離置いたら怪しまれるよね
て、いうか聞き方もはや疑問形じゃないじゃん。
隣に座るの確定事項じゃん
A「あ、君確か...マダムの店であった子だよね？」
「あぁ、覚えていてくれたんだね。何回か声をかけようと思ったんだけど、いつも友達と一緒だったからなかなか声がかけられなくて」
だろうなそうなるよう動いてたんだから！
なんできちゃうかな！！
「そういえば、名前を聞いてなかったね。僕はトム、トム・リドルだ」
A「私はA・西園寺。」
「サイオンジ？？珍しい響きだね」
A「母親が日本人なの」
か、帰りてぇ......助けてマートル
A「Ｍｒリドルはほかの友達と一緒じゃなくていいの？」
「大丈夫さ。それとその呼び方は堅苦しいな。トムでいい」
貴方が自分の名前嫌いだからわざわざそう呼んだのになんだこの野郎
私の気遣い返せ
てか名前呼んでもいいの？
A「ごめん、日本じゃ初対面の人には敬称をつけるのが当たり前だったからつい」
「へぇ、でも僕たちは初対面じゃないよ。今度からは、ちゃんと名前で呼んでね」
A「わかった…。」
「君のこと、Aって呼んでもいいかな？友達になってほしいんだ」
何企んでやがるてめぇ私は何にもできないしなんの価値もないから
放ってい置てほしい
いやだって言いたい〜・・・
A「いいよ。よろしくね、トム」
承諾しちゃったぁあああぁぁぁ
「うん、よろしくねA。……これから、ずっと」
嬉しそうに顔を歪ませ、なぜか頬を赤らめる彼
黒いはずのその目は、わずかに赤くなっていた
その色は......ピジョンブラっト色の、とても…。
A「...きれいな赤色。」
思わず口に出してしまったことに瞬時に気づきハッと口を手で覆った
トムは心底驚いた顔した後、やはり美しい美術品のようなその顔を喜びで歪めた
その瞳はまるで熱に浮かされたかのように煽情的に輝いていた
いや、ある意味濁っていた
「やはり...君が、僕の理解者なんだな。」
絶対に、離さない
そうトムは呟いた
やめてください離してください
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作者名：林檎 | 作成日時：2022年7月20日 15時
