Beginning of love - 登坂広臣 -

４６. ページ47

、



いつものように投げ渡されたヘルメット。






臣「しっかり掴まってろ」






豪快な音を立てて走り出したレイダーは、反対方向に自転車を漕ぎ進める大樹を背にどんどんとスピードをあげる。



大樹のやつ、まじっすか！お願いしまーす！ってあっさり帰りやがって。






臣「……」


A「……」






…ああ、やっぱり。

この人の後ろが一番安心して、心地がいい。



けど……






A「、」






少しだけ、広臣さんのじゃない、しかも女物の香水の匂いがしたことに気づかないほど私は馬鹿じゃない。



沙耶さんのだ……。



コンビニで話した時の、あのドギツイ香水の匂い。






臣「…、」






嫌だなぁ…って、広臣さんのシャツの裾を強く握りしめた。






A「ありがとうございました」


臣「…A、夏祭り行かねぇ？」


A「夏祭り…？」


臣「隣町であるんだけど、わりとでかい祭りでさ、」


A「？」


臣「や、まぁさ、行かねぇ？一緒に。二人で」






そんなの、答えなんて一つしかない。






A「はいっ！」

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