恋の炎色反応〈QK〉

恋の炎色反応 __ ２ ページ49

須貝さんがアメリカに行ってしまう前日、私たちは最後のデートをした。

今まで行った思い出の場所に行って普通にデートをした。

明日あなたが遠いどこかに行ってしまうなんて、そんなこと全部忘れてただただ幸せだった。


「ねえ、花火しよ！！」


たくさんいろんなところを回って火も落ち始めた頃、突然須貝さんがそんなことを言って、私たちは花火たくさんの花火を抱えてデートの最後に公園へ行った。

日が落ちて最初の花火を2人で選んでいる時、ようやく最後なんだなって実感が湧いた。


「俺たちって花火みたいだと思わん？」


そんなふうにあなたは一本目の花火に火をつけて笑っていたっけ。


「そうですね、、ほんとに私たちみたい。」


なんて笑ってみようとしてもうまく笑顔は作れなかった気がした。


「花火ってなんでこんなに綺麗なんでしょう。」

「そうだな、きっと消えちゃうからだよ。美しいものは消えちゃうんだ、きっと。」


そんなふうに笑ったあなたの顔を私はちゃんと見れなかった気がする。

でも、この恋はこんなに美しいけれど、本当に消えてしまわないんでしょうか。


「須貝さん、アメリカの美女と浮気とか許しませんからね。」

「当たり前やん。」


そんな言葉と花火を水につける音が重なった。


「じゃあ、行ってくる。」

「はいっ！いってらっしゃい！」


最後に私の頭を撫でた須貝さんの手の温もりを今もずっと忘れられない。

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