恋の炎色反応〈QK〉

フレーム __ mzkm ページ3

カシャッ

そんな小気味いい音がなって、フレームの中には時間を切り取られたあなたの横顔。

でも今の時間の中で一緒に過ごす彼は少し拗ねてて、


「えー、不意打ち禁止。」


なんて。

いいじゃない。

どこを切り取ってもかっこいいのだから。


「じゃあ、はいっ、ちーず！」


そういうと少し困った顔で、でもちゃんとピースしてくれる彼。


「これも一種の不意打ちだけどね、」


なんて言いながら。


「かっこいいからいいじゃん。」


そういうと、


「じゃあ俺もAのこと撮ろうかな」


って。

それは違う。

私が颯くんを撮るのは、人気者の彼が、私だけのフレームに収まってるってことが幸せなのであって、

そんなことをごちゃごちゃと考えていると颯くんのスマホからはシャッター音。


「あ、300円。」

「え、ひどくない？」


そんな馬鹿みたいな会話をしていると、今この瞬間だけは颯くんのフレームに私しか写っていないような気がして嬉しくなる。


「颯くん。」

「ん？」

「好きだよ。」


普段好きという言葉をあまり言わない私が、突然こんなことを呟いてみると少し驚く颯くん。

そしてそのあと、にっこり笑って、


「俺も大好きだよ」


って言ってくれるんだ。

嗚呼、たとえ嘘でもいいからこの時間が続けばいいのに。

なんてどうにも叶わない願望が浮かぶのはあなたがカッコ良すぎるが故。

あなたとこの時間に留まりたいなんて、

それか今この瞬間、世界ごとシャッターを切って時を切り取ろう。



君と私の瞳のフレームにはあなただけ。

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