恋の炎色反応〈QK〉

Primula __ 信頼 __ kwmr ページ19

「ねぇ、2人はさ、ほんとに嫉妬とかしないの？」


なんて突然伊沢が私とAさんに問いかけてきた。


「「しないです」」


と、その質問に私とAさんは見事にハモる。

しかし、俺もAさんも特に気にする様子はない。

そう、別にこれがいつも通り。


「やっぱり熟年夫婦なの？」


なんていじりがいがないような私たちは何故か、伊沢にとてもつまらなそうな、半ば呆れたような顔をされた。


「熟年夫婦も何も、結婚していませんが。」


そう真顔でAさんに突っ込まれる伊沢。


「ちーがーう！物の例えってやつよ。」

「いいえ。全くですね。」


そう私たちは嫉妬をしない。

と言うより嫉妬のしようがない。

だってお互いに浮気なんてしないと信頼しているから。


「じゃあさ、河村さん。俺がAちゃんに抱きついたりしたらどう？」

「ん？それは嫉妬をじゃないね。殺意。嫉妬はAさんに対して抱く感情でしょ？それはない。」


そう言うと何故か大袈裟に引いた顔。


「ところで聞いたことありませんがAさんは嫉妬などあるんでしょうか。」

「うーん。ないですね。信頼してるので。」

「そうですよね、私もです。」

「でも熟年夫婦って違いませんか。」

「そうですね。愛が冷めたとかマンネリ化とかもないですもんね。」


私たちが至って普通の、そう至って普通の会話をしているのに何故か伊沢が照れている。

さっきからちょっと意味がわからない。


「昨日だって家で、」

「あーーー！ストップストップ！！」

「何聞きたくない？」

「いいです。もう、熟年夫婦とか言わないんで。」

「そうならいいけど。」


そういって呆れ気味にさっていった。




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