恋の炎色反応〈QK〉

桜の世界で __ ２ ページ14

久しぶりにAちゃんに誘われて2人でご飯を食べに行くことになった。

Aちゃんは鈍感だから伝わってない様だけど、俺はAちゃんのことが好きだ。

だから誘われたときはもちろん嬉しかったし、今日こそ伝えようか。

そんなことをたくさん考えた。

だけど今の俺にはそんな勇気なくて。

そして、最近のAちゃんの様子も気になったから。

今じゃない。そう思った。

たとえ告白されても。

Aちゃんのため。

今は環境を変えないほうがいいんだ。




なんて、俺は馬鹿だった。

あの時の俺はとことん馬鹿で、

誤魔化しの笑いなんて、

ごめんねなんて、

言わなきゃよかった。

言っちゃダメだった。

絶対に。




「桜が咲いてるんで桜の下を通って帰りませんか？」


2人でたわいもない会話をしてそろそろお開きの時間。

そんな可愛いことをAちゃんが提案し俺が乗る。

そう。別にここまではよかったんだ。

じゃあ、この世界はどこから間違えたんだ？


「枝垂れ桜なんて久しぶりで綺麗だね」


そんなふうに枝垂れ桜が咲くこの場所に来たとき？


「あのっ、ふくらさん。」


そう君が俺を呼んだとき？


「好きですっ、！」


そう伝えられたとき？


「ごめん。今はそういうの考えられないんだ。」


なんて誤魔化し笑いをしたときか？


なんてそんなことを悩んでも悩んでも答えは出なくて。


今、俺の手の中には温もりを失った手があるだけ。



「好きっ、好きだよAちゃん、なんでっ、俺伝えてないよっ、」


そんな言葉が虚しく滴となって手に落ちた。




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