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潤 side
歯が痛い…
薄々感じてはいたが…ね。
仕事を理由に誤魔化した。
昨日の夜は歯痛でどうなるかと思ったが、
痛み止め飲んで仕事に。
いつも家に帰るのに通る歯科医院。
息子が小さい頃からお世話になっている。
俺はここでは…歯医者にはほぼ無縁。
中学ぐらいまではしょっちゅう
虫歯を作っては、歯医者に行ってたけど。
引っ越すからって
念入りに歯医者で歯磨きを教えられた記憶。
母親に引っ張っていかれたんだよね。
新しいとこでも歯医者ばっか
通うんじゃなくてしっかりしなさい。と…
そのおかげか、高校生ぐらいから
歯科検診でも虫歯を指摘されることもなく、
スムーズに上がってきた。
歯医者なんて何年ぶりだよ。
まぁ初めに痛んだのは…
あれは飛行機だから関係ないだろう。
仕事柄か、海外に行くことも多いしな…
帰宅する頃には
いつも歯医者はしまってる時間。
土日が休みな俺は、
歯医者も空いていないから困ったもんだ。
平日は朝から晩まで大忙しだし。
今日はラッキーだと思った。
閉まっている時間だが、歯医者の目の前を通ると、
看板などは暗いが小さな明かりがついている。
薬だけでも…
と、そう思って。
まさかそこで…
昔の友人に会うとは思ってなかったが…
「 潤くんでしたら
特別大サービスさせて頂きますよ。
どうぞ？入ってください。 」
そういう彼は二宮和也。
高校の同級生だ。
「 家が歯医者なんですよねぇ… 」
歯科検診のお知らせの
虫歯の欄にチェックがついていた時。
落ち込む和は、そう言っていた記憶がある。
親が歯医者だと、
虫歯が深刻なのかと思ったら、
「 父さんじゃなく、
まわりの歯科衛生士とかの目がめんどくさいんですよねぇ 」
と。
あぁ、世間の問題かと。
和はそういうの、大っ嫌いだよな…
なんて、歯医者の独特な椅子に座り、
そんな昔の話を思い出していた。
和也 「 潤くん…？ 」
潤 「 ん？ 」
和也 「 いやいや、ぼーっとして…
そんなに痛いですか？ 」
潤 「 昔のこと思い出していただけ。
歯医者の息子ってほんとだったんだなって…笑 」
和也 「 なんで私は嘘つかないといけないんですか…笑 」
潤 「 いや、嘘だと思ってないよ。改めて実感して。 」
ふーんと言った和は、
「 とりあえず痛いところどこです？ 」
と聞いてきた。
白衣を着て、
マスクをつけて、手袋も。
歯医者なんだな…ここは。
＊
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作者名：みぃたん | 作成日時：2020年2月5日 21時
