頑張る【平古祥平】 (ページ9)

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すぐに丹後は話だした。
「祥平、gakuに１つ忘れ物してたけど、どうする？」
海の方へ歩きながら祥平は答えた。
「あー、物によります。なんですか？」
「なんか、USB？白いUSBがロッカーに残ってた。」
「ああ、今度取りに行きますね。」
美優との写真が入ったUSB。
家に置いていると胸が痛くなるから、gakuのロッカーにつっこんだことを忘れていた。
「元気してるか？」
丹後が再び話始めた時、祥平は靴と靴下を脱いで海の引いたり満ちたりする水で遊んでいた。
「いつも通りです。持病は持病のままなんで。」
「そうか。合う薬、見つかるといいな。俺もよさそうな薬見つけたら連絡するよ。」
「ありがとうございます。gakuはどうですか？」
「江藤オーナも従業員も相変わらず。祥平がいないとメニューの開発が捗らないかな。」
冗談まじりに、丹後は話す。
「こっちは尾花さんがいるんで。」
誇らしげに祥平が言うと、丹後は江藤に呼ばれた。
「ごめん、また連絡するな。」
「あ、はい。失礼します。」
電話を切ってスマホの電源を落とそうとすると、祥平の首から銀色の何かが滑り落ちた。
あっという間に水に流されていく。
じゃぶじゃぶと水に入っていく頃には、もう見当たらなくなっていた。

服に濡れないよう気を付けながら、祥平はネックレスを探した。
歩き回り、手探りで砂を掻き分けてみたり。
もう、沖に流されてしまったのだろうか。
いや、諦めきれない。
お気に入りのネックレスだ。
祥平はついに服を諦め、しゃがんで探し始めた。

「あった！」
ズボンの裾が濡れてしまった頃、やっと見つけた。
砂がついている。
洗わないとつけられない。
洗い場に行こうとしたとき、足がもつれた。
「あぁ、もう！」
転けて服が濡れた。
濡れるのは最小限にしたいと思っていた祥平は、自分のどんくささに嫌気がさした。
なんとか水から脱出し、砂まみれになりながら立ち上がった。

祥平がいないと探していた芹田に発見され、祥平の天然がしれわたった。
相沢はまたかといった顔をしていた為、昔からなのだろう。
「びちょびちょ…砂だらけだし最悪。着替えたいシャワー浴びたい。」
我が儘をいう祥平に尾花は甘い。
もしもを考え持ってきた着替えを祥平に貸し出した。
海の家の更衣室で着替え、少しだぼっとした服で尾花が運転する車に乗った。
「ありがとうございます。」
まだ少し怒っている祥平の頭を撫で、車は出発した。

【BBQ】終わり