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意識が浮上する。
ゆっくりと瞼を持ち上げれば、京野の顔が目に入る。
喋るのが億劫だ。
キョロキョロと視線を動かす。

京野の家だ。
あまり広くないアパートの一室。
寝に帰るだけといった感じで、あまり生活感は感じられない。
暫く泊まっていた時と変わりないだろう。


「……ぁ」
なくしたと思っていた写真が、コルクボードに貼ってある。
京野と、相沢と、尾花と、祥平。
エスコフィユ時代に撮ったものだ。


「あ、祥平起きた?今尾花がお粥作ってるから休んでて。」
「すいません.......」
服も変わっている。
京野の物だろう、少しサイズが合っていない。


額に張り付く前髪をかきあげ、その体を持ち上げようとした。
いつもより、何十倍も重い。
自分一人では持ち上げられない。



「祥平。何でいつも体調悪いの隠すんだよ。隠したっていいことないだろ?」
「空ける訳にいかないんで。本当に大丈夫だったんです、朝は。」
「悪くなるの目に見えてんだろ?薬も飲めねぇ体質の癖に無駄に体力使ってんじゃねぇよ、熱も出てるし、結局店立てねぇじゃん。」
まくしたてる尾花に祥平は喉が詰まる。
目に薄い膜が貼る。
熱が出ると、涙腺が可笑しくなる。
溢れた涙を、尾花が拭う。
「頭が痛ければ言う。買い出しは一人足らなくてもいいから。」
上体を起こしながらこくこくと首を動かし、溢れる涙を拭う。
「熱上がるぞ。」

「お粥さん出来たよ〜。祥平、ごめんね。僕と尾花はそろそろ仕込みに行くから。京野が残るから何かあったら言ってね。あ!あと、倫子シェフが今日は休んでいいって。」
「すいません…ありがとうございます。」
お粥を受け取り、尾花が居た位置に京野が座る。
「あぁあ、泣いちゃった。熱上がってない?計る?」
「余計苦しくなるんでいいです…すいません、すぐ帰ります。」
「いや、俺も今日は開店までいるよ、心配だしね。」
お粥を口に運び、ゆっくり食べる。
溢さないように、スプーンに手を添えて食べる。
なんだか女っぽい。
京野に頭をなでられ、上目遣いで見つめる。

「あ、京野さん、鼻血…」
鼻を抑えバタバタといなくなってしまう。
食べ終えた後の食器をシンクに戻し、帰ろうと京野に声をかける。
「あの、そろそろ帰ります。服、洗って返します。」
鼻血が止まった京野は送るよ、と上着を羽織る。
まだフラフラする祥平を支え、家に向かった。



「ありがとうございました。」
「うん、ゆっくり休んで。」



【親かって】終わり

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- 待ってます (2020年3月14日 23時) (レス) id: 4dd29c1c3e (このIDを非表示/違反報告)
にな - 更新待ってます!^_^ (2020年3月13日 0時) (レス) id: 4dd29c1c3e (このIDを非表示/違反報告)
ひらがなみすず(プロフ) - hirocddgsさん» 了解しました! (2020年3月6日 10時) (レス) id: c3925e2dd7 (このIDを非表示/違反報告)
hirocddgs(プロフ) - リクエストいいですか?柿谷が祥平のことが実はすきすぎてストーカーぽくなってしまって京野たちが助ける感じのが読みたいです。よければ書いてほしいです。 (2020年3月5日 22時) (レス) id: 9d0729a75d (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ありがとうございます (2020年2月25日 22時) (レス) id: b9cd9183e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みすず | 作成日時:2019年12月17日 6時

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