本当の顔 3rd (ページ17)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:7,523 hit

失いたくないページ17

.

兄ちゃんがいてくれれば、それでいい

今まではずっとそう思ってたけど、Aと出逢ってから変わった
可愛くて、愛おしくて…ずっとずっと護っていきたい、Aがいなきゃ…と思えた人に出逢えたからこそ、失うのが怖かった。

怒鳴るつもりなんて全く無かった…けど、自分が思ってた以上に心配だったからか、思わず声を荒げてしまった……
Aの目を見たら、怖かったんだろう…目を潤ませていた

「これ以上、心配させんなよ…」

『ごめん…なさい………』

「お前が…Aがいなくなったら、俺…どうしたらいいのか分かんねぇよ……」

こんなにも愛おしく思えるのは、Aが初めてだったから…何よりも失いたくなかったから……
ギュッと抱き締めれば、小さい体で抱きしめ返してくれて、改めてAの存在を再確認出来た。

『竜くん……怒ってる…？』

「連絡くれなかった事に怒ってる」

『ごめん………竜くんがケンカしてた事に対して、感情任せになりそうだったから、連絡しなかったの……』

「うん」

『だから…素直に連絡すれば良かったなって……助けてくれてありがとう…』

「ちゃんと今度から連絡しろよ？じゃねぇと、俺マジで心臓保たねぇから……」

『分かった……』

「A、顔見せて？」

『ヤダ』

「ヤダって…ガキじゃねぇんだから、素直に見せろって」

『泣いて顔ぐちゃぐちゃだから、嫌なの…！』

一向に俺から離れようとしないAを引き剥がそうとした瞬間だった

ぐぅぅぅぅぅぅぅ

「は？」

ピタッとAの動きが止まる
え、今の音って………

『…………お腹空いた』

「腹の音かよw」

気持ちも落ち着いたんだろうな
深夜のバイト終わって、いつもなら無事に帰ってメシ食い終わってる頃だもんな…

「メシ行くか？」

『行く…！』

蘭「おいおい、兄ちゃんの事忘れてねぇよなぁ〜？」

竜「わりぃ、兄貴…メシ行くっしょ？」

蘭「竜胆の奢りなら♡」

『竜くん、ご馳走してくれるの…？』

竜「ぐっ…………」

蘭「嘘だってw今日は俺が持つから、良いとこでメシ食おうぜ」

『蘭ちゃん良いの…？！』

蘭「お腹空かせてる子がいるのに、このまま帰るのもアレじゃね？取り敢えず、付いて来ねぇヤツはメシ抜きな〜」

竜「ちょっ兄貴待って！！！！」

『行く行く！』

これからも永遠に俺のそばから離れないで

そう思いながら、Aの手を取って走り出す

.