思い出の場所 (ページ35)

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❤︎35 side ran ページ35

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内緒でパクった校舎裏の扉の鍵をカチャカチャさせて、Aちゃんの手を引いて中庭に向かう

本当は屋上が良かったんだけどなぁ…

俺らが出会ったのが屋上だったから、あそこでゆっくり話してぇなって思ったけど、流石に校舎の鍵やらセキュリティ考えたら、タダじゃすまねぇからな

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で、なんで中庭を選んだかって？

Aちゃんの憧れの場所に連れて行きたかったから

屋上でのんびり本読んでたりしてたけど、Aちゃんも女の子な訳で…
人気がある中庭を見つめてる時間が度々あったのを見逃さなかった

女子がこぞって集まる場所だけど、Aちゃんは羨ましそうに見つめるだけだった
もちろん、本人の口から『行ってみたい』なんて事も聞かなかった

だったら、俺が願い叶えてやるしかねぇじゃん？

「夜になると、やっぱ雰囲気変わるなぁ」

『蘭、夜来た事あるの？』

「いーや。想像はしてたけど、こんだけ変わると思ってなかったし、やっと願い叶えてやれたかな？って」

『願い？誰の？』

「え、Aちゃんに決まってんじゃん♡卒業するまでに一度は来たかったんじゃねぇの？」

そうAちゃんに投げかけると、何故か俯いてしまった…

あれ？まさか、俺の勘違い？空振りした？

でも、好きな子の素振りとかよーーく観察してるから、外さねぇと思ってんだけど…

『…バカ』

「は？」

『蘭のバカ…！なんｯで…知ってんの…？！』

「Aちゃんと屋上にいる時、暇さえあればずっと此処見てたから、行きてぇんだろなって。好きな子の願いは叶えてやりてぇじゃん？」

ホッと胸を撫で下ろして安心するのも束の間

多分俺に気付かれない様に泣くのを我慢してたAちゃんの目から涙が溢れた

『こんなｯ…サプライズ…聞いてｯない…！』

「言ったら、サプライズの意味ねぇじゃんw」

泣いてんのに、相変わらず強気なAちゃんが可愛くて、愛おしくて、いつもより腕に力を込めて抱きしめる

喜んでくれて何より

好きな子に泣くほど喜ばれるのって、こんな幸せな気持ちになるのか…

俺の事を本気にさせたのは、Aちゃんが最初で最後だな

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けど、俺からのサプライズはこれで終わらねぇよ？

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