思い出の場所 (ページ21)

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蘭の到着を待ってる間、手に持っていたぬいぐるみをボーッと眺めてた

さっきまであんなに楽しかったのに
なんで、こんな目紛しく事が動くんだろ……

私はただ家族と昔みたいに楽しい時間を過ごしたいだけ
もっと高校生らしい日常を過ごしたいだけ

なのに、上手くいかない

実際は家族との楽しい時間なんて無いし、高校生らしい生活も出来ない

こんな事になるなんて、全く想像してなかった
だから、余計に悲しくなる

「みーつけた」

『ら、ん……？』

声がする方を見れば、蘭が立っていた

本当に来てくれた嬉しさにまた涙が溢れ出す

『らっ…ｸﾞｽｯ…』

「おーおー、どうした？何があった？」

隣に腰かけて、そっと背中を摩ってくれる
その優しさが私の心を癒してくれて、また涙が止まらなくなる

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「落ち着いた？」

『ん…ありがとう』

「んな気にすんなって。ところで、あの後何があった？」

気持ちがようやく落ち着いて、蘭が気にかけてくれた

蘭の顔見るとまた泣きそうだし、泣いた後の顔を見られるのが恥ずかしくて、俯いたまま起きた事を全部説明すると、「ごめんね」と言いつつ、蘭の手がそっと私の顔に触れた

そのまま顔を動かされると、蘭の眉がピクッと動いた

「ほっぺ、赤くなってんじゃん」

『ヒリヒリするくらいだから…』

「てか、もう俺んちおいで」

『それは悪いって…！』

「でも、Aちゃん今日は帰らないって、さっき電話で言ってたじゃん？このままどうすんの？」

『あっえと……』

答えに苦しんでると、私の手を取って立ち上がる蘭

キュッと握って、そのまま手を引かれた

『らっ蘭？！』

「なんだよ」

『急だし申し訳ないから、全然いいよ…！それに私の問題だからさ』

「Aちゃんの問題だとしても、俺が心配なんだよ。家は俺と竜胆しかいねぇから、気にすんな」

スタスタと手を引かれて歩く蘭は止まらず、そんな事を言って公園から出た

普段なら親に心配かけるって考えちゃうけど、今日はもう親から離れたい気持ちしかなくて、蘭に感謝した

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