＊６８２＊ ページ37
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「……、わたし、」
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「……本当は、…すごく、怖かったんです」
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さっきまで智が座っていた、空になった椅子から
いまだ視線を外すこともできずに
私が ぽつりと言葉を零し落とすと、
斎藤さんはゆっくりと… そんな私の横顔を見つめた。
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「…斎藤さんとの約束を反故にして、
“智の隣に戻りたい”と言うからには
あの施設への寄付は……、打ち切られても仕方ないと思っていました」
斎「……」
「だけど、……私は、諦めたくなかった。
智のことも、施設の子供たちのことも。
寄付が打ち切られてしまうなら、それに代わる何かを見つけるしかない」
斎「……」
「智は、死に物狂いで 私を幸せにしようとしてくれた。
だったら… 私にだって出来るはず。
私だって…、智も あの子たちも 幸せにできるはず
最初はそう意気込んで、
…斎藤さんに対しても、…半ば啖呵を切ったようなものでした」
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何の根拠もなかった。
何の勝算もなかった。
ほとんど勢いまかせで口を衝いて出た言葉の数々に
あんなにも苦しめられるなんて…
あの時の私は、まだ
“現実”を 何ひとつ分かっていなかった。
そして、その後すぐに
見上げても その高さすら分からないほど高い壁に
私は… 打ちのめされることになる。
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「あんな大きな組織を相手に反旗を翻すなんて、
……もしかしたら、
私はとてつもなく大きな過ちを犯しているんじゃないかって。
いつ 足元を掬われてもおかしくなくて、
でも、それによって傷つけられるのは
…私じゃなくて、あの子たちで」
「自分のしていることは間違っているんじゃないか、
寄付を肩代わりしてくれる人なんて、
…永遠に、…見つからないんじゃないか」
「……私は、…自分の欲を満たすために
一度ならず二度までも、…あの子たちを裏切ってしまうんじゃないか」
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眠れずに、寝返りばかり打つ夜の闇
どっちを向いても八方塞がりな状況に
そのまま飲み込まれて、浸食し尽くされてしまうような…
そんな、どうしようもない焦燥感に駆られて
言い知れぬ恐怖に 震えて
弱い自分が、出来もしないことを、と 私を嘲笑う。
そんな、目の前に渦巻く黒に
…何度も 叫び出しそうになった。
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まよ(プロフ) - ハルキさんご無沙汰です！久しぶりに開いて読みました！智くんとの再会後、いちゃこらみたい笑リアル智くんも元気かなぁ。ＧＷゆっくりしつつ楽しんでくださいね！ (2023年5月3日 22時) (
レス) @page47 id: 2bb9158d15 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - ハルキさん更新ありがとうございます。智君に会えて嬉しいです。久しぶりにドキドキしてきゅんきゅんしてます。ハルキさんありがとう(^^)v (2022年9月29日 13時) (レス) @page47 id: 70f41ecff1 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 楽しみにお待ちしておりました(>_<)胸がぎゅーっと苦しくて…会えてよかったぁ！！！激重のイチャコラ楽しみにお待ちしてます！！ (2022年9月29日 6時) (レス) @page47 id: 6ed58a0011 (このIDを非表示/違反報告)
mikitiy(プロフ) - ハルキさん更新ありがとうございます。やっと、智くんにあえて。この時を待っていたっ。嬉しいです。続きがとても気になる〜。葛藤も色々な想いも乗り越えて幸せになってほしい。ドキドキしながら読みました。更新を待ってます。 (2022年9月28日 22時) (レス) id: 0a92ac1d6f (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - →待ち続けておりますので、これからも楽しみにしてます！ (2022年9月28日 19時) (レス) id: 178db8b66c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルキ
| 作成日時：2019年9月25日 1時
