＊５００＊ ページ48
.
.
あの夜、薄れゆく意識の中で
だんだん遠ざかっていく、智のスニーカーの音を聴きながら
行かないで…って
ひとりにしないで…って
声にならない声で叫び続けてみても
その想いは、決して届くことなく
自業自得だと、そんな私を嘲笑う誰かが
まるで握り潰そうとしているかように、胸が痛くて
このまま、心と身体がバラバラになってしまいそうで…
.
深夜の静寂に吸い込まれるように、す…っと消えていった、
智の足音が聴こえなくなったら
そこに残されていたのは、奈落の底に突き落とされたような絶望だった
.
.
瞳に映る世界は、すべての色を失って
その到来を告げるはずの春風は、匂いを失って
何も見えなくて
何も聞こえなくて
自分が生きているのかでさえも、よくわからなくて…
ただ、断片的にフラッシュバックする、
あの夜の智の優しい微笑みと、深く傷ついた顔
隠しきれない動揺をそこに浮かべて
信じられないという
哀しそうに揺らした、その瞳が
まるで責め立てるように、私を真っ直ぐに見つめて
その目に捉えられる度、胸が抉られるように痛くて、潰されそうで…
.
智を想う気持ちだけは、取り上げないで…って
あんなにも泣いて縋っていたのは私なのに
それをすべて壊してしまったのは、私自身だった
.
.
.
智…？
あの夜智が伝えてくれた言葉、ひとつひとつが
決して、嘘なんかじゃなかったこと
私、ちゃんとわかってる
ずっと私に会いたいって思っていてくれたこと
離ればなれになってしまったことを、後悔していたこと
今でも、私を
…好きって、言ってくれたこと
.
智が私に与えてくれる言葉は
あの頃と変わることなく、やっぱりいつでも真っ直ぐで
いろんなしがらみや繋縛に足を取られて
私の後を追いかけることが出来なかったのも
きっと私の下した決断を、無駄にさせないためだったんだよね…？
もう次はない、そう思っていたからこそ
智は事務所の抑圧的なやり方にも簡単に屈したりしなかったのに
あんな選択が智のためだなんて、そう被害者ぶって
勝手に逃げ出しただけの私は
智の想いの大きさも
智の意志の強さも
…本当に、何もわかっていなかった
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 906人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハルキ(プロフ) - ともさん» ともさん、初めまして(*´ω｀)♪この長いお話をはじめから読んでいただいたようで、ありがとうございます。長い上に暗いっていう…、何だかもう救いようがなくてスミマセン。次章からは少し違った展開が期待できると思うので、どうぞ最後までお付き合い下さい。 (2016年7月17日 0時) (
レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - ハルキさん♪はじめまして。ともと申します。イッキに拝見させて頂きました(^o^;)ドラマを観ているようでドキドキはらはら…涙流しながら(>_<)二人の健気さに微笑ましく思ったり時にはイライラしたり…更新を楽しみに待ってます。 (2016年7月14日 8時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - 咲優さん» 咲優さん、いつもありがとうございます(*´ω｀)♪もうみなさんからのコメントもめっきり減るくらい、先の見えない暗〜い展開ですが(笑)、次章では少し光もみえてくる…かな？若いのに、千花ちゃんと裕太くんの方がよっぽどしっかりしてると思っているハルキでした(笑) (2016年7月9日 3時) (レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
咲優(プロフ) - ハルキしゃん♪おひさしぶりーふ(笑)いや、そこ迷うとこチガウ！千花ちゃんはよ連絡してー！って叫んでもうた(笑)このお話ももう移行なのね(*´ω｀*)楽しみに待ってますね♪ (2016年7月8日 8時) (レス) id: 4728198315 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - 咲優さん» 咲優さん、先程アイスのコメントにレスさせていただきました！レスが遅くなり申し訳ないです(>_<) 本当にこちらのふたり、ここからどうやってハッピーエンドになっていくんでしょう…←お前がな 涙チョロリな展開ばかりですが、どうぞ信じて待っていてください！ (2016年6月19日 10時) (レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルキ
| 作成日時：2015年12月13日 0時
