ハルハナ！ (ページ30)

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◆ 30 : 頑張りすぎ屋さんページ30

. Ryo .

様子がおかしい

そう思ったのは、練習が始まってから少しした時だった。

明らかに顔がいつもより赤いし
息苦しそうだし、たまに眉間にしわ寄せるし

練習だってすぐ疲れることなんてないのに
今日はわりとすぐ膝に手をついていた。

そろそろ止めようかなと思った時

ローラーを脱いだ瞬間、
ふらりと倒れそうになるAが目に入った。

優「おわ、っぶね、大丈夫？」

『あ、ごめ、』

優「 … Aちゃん、なんか熱くね？」

『大丈夫、ちょっと目眩しただけ、(笑) 』

「大丈夫なわけないでしょ」

『っわ、涼？』

咄嗟に優斗が手を差し伸べたお陰で
Aが倒れることはなかったけど

立ち直すときに明らかに力が入ってないし

もう見てられなくて
直ぐにAの手を引いて、ソファーの上に寝かせた。

「 … 何で黙ってたの？」

『 …… 』

「 A、俺怒ってないから話して？」

『 … だって、公演、ちかいし、』

「うん」

『遅れたくなかった、から … 、』

顔を真っ赤に染めて、涙目でそんなことを言うA。

“ いつでもファンには最高のパフォーマンスをしたい ”
“ かっこ悪いところは見せたくない ”
“ 女だからって舐められたくない ”

自分がやるって決めたことは最後までやり遂げるし
邪魔されたら怒るし、とことん完璧主義で。

Aを心配した皆が
ぞろぞろと集まってくる。

瑞「いつからあったの」

『 … 昨日の、夜』

瑞「は？昨日の夜？」

『一晩寝たら楽になるかなぁって思ったの、』

猪「で、下がらなかったけど結局来た、と」

「はぁ … 本当、手のかかる子だね？Aって」

『りょうに言われたくない … 』

「はいはい (笑) 」

そんなことを言いながらも

俺が渡したパーカーを着て
頭を撫でる手に縋り付くようにする。

瑞「遅れたって教えるし
逆に無理されて倒れられる方が嫌なんだけど」

優「 … 頑張り過ぎだよ、Aちゃん」

猪「そうそう、たまには休んでもいいと思うよ？」

春「いっぱい寝てお熱下げてね … 」

作「さくちゃんがぎゅーしてあげる」

起き上がってソファーの背に持たれるAを

ぎゅーっと抱きしめるさくちゃんに
Aの手を握って、優しく撫でる優斗。

頑張りすぎ屋さんなんだよ、A
たまに休んだって、誰も怒らないよ

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