君とゼロから (ページ7)

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07 本能ページ7

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かなりの距離を歩いた気がするが、確かにこの辺りなら、特訓を人に見られることはなさそうだ。

「そういやこのへん、新しいビジネスホテルが建ったそうだな。あ、ほら、あそこさ」

オールマイトが指差した方向に目を見やると

その前に誰かがいるような気がした。

「……！オールマイト、あそこに誰かいませんか？僕ちょっと見てきます！」

「え！まっ…緑谷少年！何者か分からんぞ！」

「何かあったらすぐ戻ります！」

僕はいつのまにか頭よりも先に身体が動いていた。

助けなきゃ

なぜかそう思った。

僕の本能的な察知なのかもしれない。

「大丈夫ですか！」

ホテルの玄関の煌煌(こうこう)としたあかりの先に、その人は地面にへたり込むように座っていた。

「え…」

僕は思わず声を漏らしていた。

多分、僕と同じくらいの歳の女の子だったから。

こんな時間に一人で…

「どうしましたか？」

その目は恐怖に染まっているように見えた。

ただ呆然としていて、

僕の存在と声がまるで届いていない。

僕はその子の真正面に回って片膝をつく。

「大丈夫ですか？」

と、もう一度声をかけた。

すると、我に返った女の子は、突然顔を押さえ、静かに声を上げて泣き出した。

僕はただ、その光景を眺めることしかできなかった。