06 偶然 ページ6
「……！オールマイト！？なぜ…ここに？」
僕は驚きのあまり、声が裏返っていた。
公園前、まるで僕を待っていたかのように、
そこにはトゥルーフォーム姿のオールマイトがいたのだ。
オールマイトはやれやれといった感じで、ため息混じりに言った。
「全く…こんな時間にどうしたんだい？」
「え…いや…あのそれは…それよりオールマイト！なぜここに！？」
「何かあった時のために、君にGPSをつけてるからね」
そう言って携帯の画面を僕に見せる。
確かにそこには、僕の現在位置が示されていた。
「えええ！！オールマイト、いつの間にこんな…」
「君はまだまだ自覚は薄いと思うが、後継者だからね。何かあったときのためさ。で、今日はどうしたんだい？こんな時間に」
僕が理由を話すと、
オールマイトは、なるほど…確かにそうだなと納得したようだった。
「ここは目立つから、少し離れた場所に行こうか
いい場所があるんだ」
そう言って、オールマイトは、
僕の通う、雄英高校の方向へと足を早めた。
＊ ＊ ＊
私の心の声が届いたかのように、
ザクザクザクと、
少し遠くから足音と話し声が聞こえてくる。
『すいませんオールマイト…こんな遠くまで…』
『まあ気にするな。少し特訓したら帰ろう。明日も早いだろうし、睡眠も大事だからな』
……！オールマイト！？
私の聞き間違いじゃなければ
確かにそう聞こえた。
死柄木弔は足を止め、「あぁ…嘘だ」と震えた声を出した。
二人の会話は、どんどんこちらに近づいてくる。
「………黒霧、いったん退避だ。そいつはまた後日だ」
「…はい、死柄木弔」
「ヒーロー社会のゴミめ、いつも俺の邪魔をするなあ。でもそんな社会ももう終わりだ」
さっきまでの態度とは打って変わり、吐き捨てるように言った後、「おい、黒霧」と、顎を動かして指図した。
指図を受けた黒霧は、一瞬にしてブラックホールのような形にその姿を変えた。
死柄木弔は、ただ呆然と立っている私にゆっくりと近づき、
「じゃあな、
お前とはまたいつか会うことになりそうだ」
すれ違いざまにそう言って、黒霧とともに一瞬で消え去った。
その瞬間、全身の何もかもの力が抜けて
私は地面にへたり込んだ。
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作者名：はにぃ | 作成日時：2020年6月30日 11時
