君とゼロから (ページ24)

今日:13 hit、昨日:1 hit、合計:31,392 hit

24 嘘ページ24

「失礼します」

職員室を開けると、一斉に先生たちの視線がこちらに集中した。

プレゼントマイク、ミッドナイト、セメントス、イレイザーヘッド＿＿＿〝本物〟のプロヒーローたちだ。

「お、来たか！緑谷少年に零谷少女！」という野太い声がして、奥のドアが開いた。

そして、No.1ヒーローオールマイト＿＿＿

テレビで見るよりもずっと大きくて、その存在感は言葉で言い表せないくらいだ。

「お、オールマイト…ほ、本物？しかも名前まで呼ばれちゃった…やばいどうしよう！」

私が焦っている間に、オールマイトは私たちの目の前まで来ていた。

「今日はよく来てくれたね二人とも」と、交互に私たちを見る。

私がまだ呆気にとられていると、隣にいた出久がフォローした。

「オールマイト！僕の知り合いの零谷Aさんです！」

その言葉でやっと我に返った私は、
「零谷Aです！よろしくお願いします！」と、丁寧にお辞儀をした。

「OK！いい返事だ！じゃあ零谷少女は別の部屋に行こうか。緊張することはないぞ！君を知るために簡単な質問をするだけさ。では、あの部屋に移動しようか。悪いが緑谷少年は、そこで少し待っていてくれ」

「はい！じゃあA！頑張ってね」

「うん！」

＿＿＿

「じゃあそっちに座ってもらおうかな」

私は、「失礼します」とそっと丸椅子に座る。

案内された少し広めの応接間には、ソファーと机と丸椅子が置かれているだけだった。

あの雄英だから、すごい部屋に案内されたらどうしようとそわそわしていたが、意外にもその簡易的な造りに何となく安堵した。

「早速質問なんだけどね、零谷少女の個性を聞かせてくれるかい？」

「……それは…」

言葉を濁す私にオールマイトは不思議そうな顔をする。

「ん？緊張してるのかな？リラックスしてくれて構わないよ」

「…そんな大した個性ではなくて…あの、私が

〝もし〟無個性だったとしても採用はされますか？」

「ウェルカム！！誰でもOKさ！雄英生の知り合いならね。で、次の質問！なぜここを受けたんだい？」

思わず涙が出そうになるのをぐっと堪える。

受け入れてくれる場所がようやく見つかったような、そんな気がした。

「…うちの家、お金があまりなくて…すこしでも家庭の負担を減らせばと思って受けました」

さすがに家出だということは伏せ、私は嘘をついた。