なりたい自分に ページ8
side.you
翌日、俺は玄関で焦凍に靴を履かせてもらっていた。(自分で履けない)
「焦凍、A！ どこ行くの？」
冬姉に話しかけられ、焦凍が「病院」と返した。
「えっ……急にどした…？ てゆうか焦凍、それお父さんに言わなくていいの？」
「ああ」
「なんで今更、お母さんに会いにいく気になったの？」
焦凍は冬姉に構わずガラガラ、と扉を開ける。
今日は焦凍の要望で、いつもと違う一般的な手押しの車椅子に乗っている俺は焦凍に押されて外へ出る。
「……行ってくる」
…相変わらず無愛想だなぁ、焦凍。
「冬姉、行ってくるね」
そう言って冬姉に笑いかけた。「大丈夫だから」という意味を込めて。
「……いつか姉兄にも、積極的になろうね」
「…頑張る」
まあまずはお母さん、か。
ガラガラと車椅子を押す焦凍。昔はこの車椅子を使ってたから、少し懐かしいけど…
焦凍に押されるの初めてだから、なんか変な感覚。
出かける直前に「車椅子押してみてえ」とか言い出すからびっくりしたけど、焦凍なりの"頑張り"なんだろうし。
病院の前につくと、焦凍が少し足を止めた。
「……あの日以来、自分の存在がお母さんを追い詰めてしまうから、会わなかった」
「……」
あの日、って 煮え湯の時のことか。
俺もあの電話の内容は聞いた。
だから、足が動かなくなったとはいえお母さんに頼るのは少し気が引けて、一人で頑張ろうとして転けて、よく怒られた。
「お母さんはきっとまだ俺らに____親父に囚われ続けてる。
だから俺がこの身体で、全力で再びヒーローを目指すには……
______理想のヒーローを目指すには、まず会って、話さねえとって」
……たくさん話をしないと、と焦凍が俯く。僕はそれを座った状態で見上げ、覗き込んだ。
「…………焦凍」
安心させたくて、へらっと笑った。
「"なりたい自分に、なっていい"んだ。俺も、焦凍も」
お母さんの言葉を借りた。
焦凍は「……そうだな」と息を吐く。少し緊張が解けたようだった。
……焦凍は、"全力"といった。
体育祭を見ていたから嫌でもわかる。焦凍は封じ込めてしまった炎を、取り戻そうとしているんだ。自分の力で_____
そのための精算。俺に話しかけたのだって、その過程だろう。
すごいな、と目を伏せる。
……俺も、いつか。取り戻したいな。
太ももに置いていた手を、ぐっと握りこんだ。
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千椛(プロフ) - ヒーロー名が2人でショートケーキになるの、なんか嬉しかったです！更新楽しみに待ってます！ (2022年2月20日 22時) (
レス) @page16 id: 5a2d0a48cd (このIDを非表示/違反報告)
Re:(プロフ) - 夜空の流れ星?さん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです…完結せず新作出してて申し訳ないです。期待に添えるよう頑張りたいです！ありがとうございます！ (2019年4月20日 22時) (レス) id: 9081ea5a92 (このIDを非表示/違反報告)
夜空の流れ星?(プロフ) - 新作品ですね！いつも影で見させてもらってます）(^_^;)頑張ってくださいね！ (2019年4月20日 22時) (レス) id: 654431c6cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Re: x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2019年4月20日 21時
