２２ ページ23
『なにか飲み物持ってくるね』
爆豪「ン」
そういって爆豪くんをリビングに残して、私はキッチンにある冷蔵庫を開けた。
たまたま買ってあった炭酸ジュースを二つほど取り出し、爆豪くんの元へと戻る。
『どっちがい？』
爆豪「先選べ」
珍しく遠慮でもしてるのかな？と思い、私は爆豪くんに無難なコーラーの方を渡した。
炭酸飲料の蓋を開けると、しゅわ、という音が静かな部屋に響く。
会話のないこの状況に気まずく思い、誤魔化すように炭酸飲料を一気飲みした。
爆豪くんは一口コーラーを飲んで机に置いたかと思うと、黙ってこちらを凝視してくる。
私は思わず首を傾げた。
『どうし＿＿』
爆豪「好きだ」
何の恥ずかしみもなく、なんの前触れもなく、爆豪くんは私に好意を伝えてきた。
すぐに私は顔に熱が集まるのを隠すように、テレビの電源をつけてニュースをかける。
しかし、内容は全く入ってこない。
この間の時間は妙に長く感じ、そろそろいいかなと思った頃にちらりと爆豪くんの様子を見てみる。
『ｯ、ひゃ』
横目でも分かるくらいに爆豪くんはこちらをいまだ凝視していて、それを認識した途端、ぐるりと視界が回った。
おそるおそる目を開けると、爆豪くんの顔が今までで1番近いところにある。
さっきから心臓が痛いくらいにうるさい。
『や、やめ......』
爆豪「ンだよ、その顔」
爆豪くんの不敵な笑みを見ると、さらに心臓の音がうるさく鳴って聞こえてしまうんじゃないかと心配になる。
手は抵抗できないように上でまとめられて、押し倒されているこの状況に困惑を隠せない。
だからといって力では叶うわけもなく、抵抗もままならない。
私は必死に顔を逸らして唇を噛み締めた。
爆豪「心配しなくてもなンもしねえわ」
『じゃ、な....んで？』
爆豪「口説くっつったよな？」
『これ、口じゃない』
なにもしない、という言葉が信じられないほどに、爆豪くんは余裕のなさそうな笑みを浮かべている。
しかし私が1番驚いているのは、爆豪くんのこの大胆な行動ではなかった。
私が驚いているのは、こんな形で押し倒されて何をされるかも分からない状況で、"嫌だ"と思わない私自身。
嫌でも意識しているということを自覚させられる行動に、私はずっと奥に秘めていた言葉を口に出した。
『ずるいよ.....』
爆豪くんは、いつもずるい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 543人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひよこ(プロフ) - 星雀さん» そのまま口角が一周するくらいまでニヤニヤしちゃってください！笑、読んでくださってありがとうございます！ (2月24日 0時) (
レス) id: e8e266fc43 (このIDを非表示/違反報告)
星雀(プロフ) - ニヤニヤしまくりで口角吹き飛んだんですけどどうすればいいですか！？(笑) (2月13日 17時) (レス) @page50 id: cb3ce32ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - 莉緒さん» なによりの言葉です、嬉しすぎます！ありがとうございます！ (1月27日 17時) (レス) id: a2bbe4e09f (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 見てます！！！めっちゃ楽しんで読んでます！！！ (1月27日 14時) (レス) @page50 id: ff1884054a (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - エリスさん» わざわざありがとうございます！！こんなに長くお待たせしてしまったのに、まだ見ていてくださっていて感激でしかありません！ありがとうございます...！ (1月26日 23時) (レス) id: 3fc035aadc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこ | 作成日時：2023年11月13日 14時
