０１ ページ2
ガタン、ガタンと揺られる電車の音に耳を澄ますと、うつらうつらと眠気が襲ってくる。
私はその眠気に身を委ねて、うっすらと浮かぶ"昔の記憶"に浸っていった。
母「A、おいで」
『やだよぉ...！怖いよぉ！』
小学3年生、突然私はこの世のものでは無い"ソレ"が視えるようになっていた。
母が向かって行くリビングの方には、緑色のした細長い"ソレ"がこちらへ手を差し伸べたり引っ込めたりしている。
祖母は私の隣にいたのだが、静かに私の様子を見た後に、同じ視線の高さで優しく語りかけてくれる。
祖母「A視えるのねぇ....大丈夫よ、視えないフリをしていなさい」
母「やめてよお母さん！キミが悪い！」
母は無理やりに私の腕を引っ張ってそのままリビングへ行くのだが、その時には"ソレ"はもういなかった。
私はそれを機に"ソレ"がはっきりと視えるようになってしまったのだ。
数年後、祖母の紹介で五条さんと会い、私の術式について説明をしてもらった。
その時はたしか小学6年生だった気がする。
五条「おぉすごいね！こんなのは僕でも見たことないよ。"個性"と"呪術"が混ざっちゃってるね〜！」
今や総人口の約8割が"個性"というものを持っている。
しかし、私は個性とも呪術とも言い切れない中間地点のものだった。
のちに分かったことだが祖母は元呪術師で、その血筋とプロヒーローである両親の血筋が混ざり合ってしまったためだという。
『お母さん、私、呪術高専に通いたい！』
母「ダメよ」
私はヒーローよりも、オールマイトよりも、ずっと五条さんがかっこいいと思った。
つまり、呪術師に強い憧れを抱いていた。
しかし私の夢は虚しくも叶うわけはなく、あの雄英高校に通うことになってしまった。
ただ、みんなとは憧れるものが違ってしまっただけなのに。
いつでも来ていいよ、と笑ってくれた五条さんの笑顔に鼻の奥がツンと痛んだ。
「〜〜〜♪」
電車のアナウンスに目を覚ますと、丁度いつも降りる駅の手前でホッと胸を撫で下ろす。
『なんだか懐かしい夢を見たなぁ...』
目の端にたまる涙を軽く拭いながら、五条さんの顔を思い出すと自然に頬が緩む。
そういえば、恵はもう入学したのか。
新しい一年生が2人入ってきたって言ってたけど、どんな子達なのかな。
私は意外にも足取り軽く電車を降りて、今日も雄英高校へ向かっていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 543人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひよこ(プロフ) - 星雀さん» そのまま口角が一周するくらいまでニヤニヤしちゃってください！笑、読んでくださってありがとうございます！ (2月24日 0時) (
レス) id: e8e266fc43 (このIDを非表示/違反報告)
星雀(プロフ) - ニヤニヤしまくりで口角吹き飛んだんですけどどうすればいいですか！？(笑) (2月13日 17時) (レス) @page50 id: cb3ce32ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - 莉緒さん» なによりの言葉です、嬉しすぎます！ありがとうございます！ (1月27日 17時) (レス) id: a2bbe4e09f (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 見てます！！！めっちゃ楽しんで読んでます！！！ (1月27日 14時) (レス) @page50 id: ff1884054a (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - エリスさん» わざわざありがとうございます！！こんなに長くお待たせしてしまったのに、まだ見ていてくださっていて感激でしかありません！ありがとうございます...！ (1月26日 23時) (レス) id: 3fc035aadc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこ | 作成日時：2023年11月13日 14時
