そのきゅう。 ページ9
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＿＿＿春。
「出久！引織！テッシュ持った⁉」
「『うん』」
「ハンカチも⁉ハンカチは⁉ケチーフ！」
「『うん‼』」
『持った！持ってるよ！』
「時間が無いんだ、急がないと…」
「出久！引織！」
「『なァにィ‼』」
「……超カッコイイよ」
『へへっ…』
「………！」
「『いってきます！』」
今日はいよいよ入学式だ。
私も出久も1-Aだ。双子なんて同じクラスになることは普通は無いから出久と同じクラスになるのは初めてのことである。
さすが雄英。いろいろ規格外だ。
出久も私も緊張した面持ちで教室の扉の前に立つ。
教室の扉はでっかくてどんな個性でも通れるようにしてあるみたいだ。バリアフリーってやつかな。
スイ…っと扉を開け、出久と中を覗き込む。
「机に足をかけるな！雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか⁉」
「思わねーよ。てめーどこ中だよ端役が！」
そこではかっちゃんと試験前の会場で出久を注意したメガネの男の子がもめていた。
メガネの男の子はどうやら飯田天哉くんと言うらしい。
飯田くんはこっちに気がつくとススっと近づいてくる。
「緑谷くん…君はあの実技試験の構造に気づいていたのだな。」
実技試験の構造とは救助活動Pのことであろうか。
飯田くんは出久の事を褒めるが、出久の試験後の落ち込みようからすると気づいていなかったのだろう。
2人のやり取りが面白くて思わずクスリと笑ってしまう。
クラスの他の人を見てみるともうみんな着席していて話をしているこちらに視線がいくつか集まっている。
私は少し居心地が悪く、そっとその場を離れて自分の席へ向かった。
その後、出久を試験前に出久を助けてくれた可愛い女の子も現れた。出久はデレデレと話している。
キーンコーンカーンコーン…
とチャイムが鳴ると
「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け」
女の子の後方から突然声がした。
そこには寝袋に入り横になる1人の男の人がいた。
その人はどこからともなくエネルギーゼリーを取り出すと ヂュッ‼ と飲みほす。
「ハイ静かになるまでに8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね。」
寝袋からヌーーっと出てくるとそう言った。
とてもくたびれているが先生ということはプロヒーローなんだろう。
実際声を出すまで気づかれない隠密性は見事なものだった。
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
＿＿＿私たち雄英高校1-Aの始まりだ
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作者名：白波(鶏) | 作成日時：2018年10月14日 21時
