No.50 素直な称賛 ページ4
*瀬呂 side*
「そういやさっき、『そうくると思って』って言ってたけど……俺が轟に負けるって思ってたってこと？」
単純な疑問としてぶつけてみると、薬使は迷うことなく
「誰が見ても、実力差は明らかだったと思う」
「あー、うん。まぁそう思うよねー……」
自分で聞いておきながらガックリと
「だから……―――諦めずに本気で勝ちを狙いにいく姿見て、すごいなって思った」
「え」
思いがけない言葉に唖然とする俺を、薬使はジッと見つめてくる。
その目に、嘘や裏は無いような気がした。
「……そっかー。そこを褒められるとは思わなかったわ」
「そう？」
俺の治療を終え、薬使は自分の腕に包帯を巻きながら首を
「格上の相手を前にしても
「お、おぉ…なんか、はっきり言われると照れるな……。つーか、そこまで別クラの俺のこと褒めてくれるとか……爆豪を煽りまくってたあのコピーの奴と同じクラスとは思えないくらいだわ」
照れくささをごまかしつつそんなことを言うと、薬使は表情を変えないまま口を開いた。
「むしろ、寧人が特殊なだけ。私だって、A組のみんなも同じヒーロー科の仲間だと思ってる。……でも、爆豪くんは少し嫌いかも」
爆豪の名前を出す瞬間だけ微かに眉をひそめた薬使に、俺は心の中で「げっ」と思う。
「もしかして、あいつに何か言われた……？」
「寧人のこと、思いっきりバカにされた」
正直に答えた彼女は、心なしか不機嫌そうだった。
「あー……うちの爆豪がごめんな。俺から一言言っとくよ。ま、聞くかどうかはわかんねぇけど……」
あいつの代わりに謝罪しておくと、薬使は「ありがとう」と先ほどの無表情に戻った。
「ところで……薬、どんな感じ？ ちゃんと効いてる？」
思い出したように尋ねられ、俺は改めて自分の腕を確認する。
「ん、もう何ともなさそう。すげぇなぁ、ホントにいろんな薬創れちまうんだ」
感心して完治した腕を眺める俺に、薬使は「効いたなら良かった」と小さく微笑む。
「治療、あんがとね。んじゃ、俺客席戻るわ」
「うん」
ここに来る前はあれだけ沈みまくっていた気持ちが、一人の少女のおかげで、ほんの少しだけ晴れやかなものになっていた。
No.51 瞬殺した者、された者→←No.49 保健所番の少女
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空文 晴霧(プロフ) - うり太郎さん» 何回目だろうと大歓迎です！ ありがとうございますm(_ _)m 物間くん良いですよね！！！ うちの美染ちゃんは強い子です(笑) (2021年10月6日 23時) (
レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
うり太郎(プロフ) - 物間、カッコイイぞ!って思ったら･･･美染ちゃん強え。続き毎回めっちゃ気になります!この作品はもっと伸びるべき!!因みに私、物間推しなのでくっついてくれるとウレチイ|´-`)ﾁﾗｯ2回目のコメント失礼しました!これからもニマニマしながら読ませて頂きます! (2021年10月6日 12時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - しゃけふれーくさん» ありがとうございますー！ もう無いなら自分で書いちゃえと思って書き始めました(笑) これからも応援よろしくお願いします！ (2021年9月6日 20時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
しゃけふれーく - コメント失礼します！！B組の小説があまり無かったので本当に嬉しいです！！これからも頑張って下さい！応援しています！！ (2021年9月6日 20時) (レス) id: 60a68be70d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空文 晴霧 | 作成日時：2021年9月5日 15時
