【ヒロアカ】血に染まりし薬少女は、ヒーローになれるか:Vol.2【1年B組】

No.61　救った者、負けた者 ページ15

*美染 side*

二回戦第一試合は……一言では説明できないほど、壮絶な戦いだった。

緑谷くんがずっと、轟くんに向かって何かを訴えかけて。それと同時に試合が進むにつれ、緑谷くんの体はどんどんボロボロになっていく。

それでも彼は……諦めなかった。その姿は、轟くんと戦っているというよりもむしろ……轟くんを、“救おうとしている”ように見えた。

あの二人の間に何があったか、轟くんにどんな事情があるのか……私は何も知らない。

だけど……ずっと熱の"個性"を使わなかった轟くんにそれを使わせた瞬間、彼は確かに轟くんを救ったのだ。

少なくとも、私の目にはそう映った。

「……かっこいいな」

緑谷くんが場外に吹き飛ばされ、轟くんの三回戦進出が決まって歓声が湧き上がる客席の中……私は、誰にも聞こえないようポツリと呟いた。

緑谷くんは、どんな気持ちで自分の"個性"を使っているのだろう。

使えば使うほど、自分の体が傷付く"個性"を……。

無意識に、包帯を巻いた自分の腕に視線を落とす。

……聞いて、みたいな。彼に……緑谷くんに。

「……私、リカバリーガールのとこ戻るね」

歓声が落ち着いてきたところでそう言い、私は席を立つ。

「おう！！ 頑張れよ！！」

徹鐵を筆頭にみんなに見送られ、私はリカバリーガールの所へ駆け足で向かった。

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