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娘として ページ18

時間だけがまた過ぎていく、
いい加減にしろと痺れを切らした犯人は
突きつけた拳銃に力を込めたらしい。
捕まっている母が少し顔をゆがめた。
何も出来ない、目の前で母と父が危険にさらされているのに、私はそれを助ける立場なのに。
焦りだけが前をゆく。
目暮警部のそばに行き、状況の確認をする。
その場にはここに集まった警部補から上の人間が集まってきていた。
全員がこのままではいけない、と察したのだろう。

「どうなっていますか、確認の方は」

目「…どちらも通らなかったよ、あの二人を助ける手筈を考えなくては」

頭が鈍器で殴られたように痛い
目の前が少し歪んだような気もする。
他の人間の話し声すら頭に入らない。
2人は、ここで死ぬの?
そんな考えばかりが浮かんでしまう。
今のこの場であの二人が私の両親と
知っているのは配置の近い陣平さん深山だけ。
だからこそ、こんなに簡単に私に言えたのだ
通らなかった、と。

犯「これ以上時間をかけるなら殺す」

目「待て!まだもう少し、時間がいるんだ!」

これ以上の時間稼ぎなど出来ない、
今、目の前でお父さんもお母さんも
危険にさらされて何も出来ない、
死にゆくのを、傷つくのを見ることしか出来ない

「どうして…」

目「とりあえず配置にもどれ、全員すぐにでも
狙撃できるようにしておきなさい」

「………了解」


早足に戻った配置場所では陣平さんと
深山が心配そうに顔を歪ませてこちらを
みている。
それに小さく首を振る、目を見開かせたのは
陣平さんだった。

松「A…」

「なんで、だろうね」

どうして一般人を守る立場の私が
警察が、一般人を助けるために動けないのか
どうして二人の娘である私が
二人に恩を返せずにここで見ているだけなのか。
まだこれからずっとお母さんと友人のように
話を重ねて歳をとりたかった。
まだこれからずっとお父さんと互いの趣味について熱弁を重ねて歳をとりたかった。
甘えられる回数も顔を見る回数も格段と
減ってしまってはいたけれどそれでも私は
二人の娘で2人が自慢の両親だった。

娘で警察で警部補で。→←警部補のプライド



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Hrry(プロフ) - ほのかさん» 幸せにします!絶対!ありがとうございます!! (2019年10月19日 19時) (レス) id: 94eb334c47 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか - 夢主さん、頑張って!胸がギュってなるぅ・・・。凄く切なくなるけど、幸せなラストを待ってます!Hrryさん、頑張ってください! (2019年10月16日 22時) (レス) id: 949a14dbde (このIDを非表示/違反報告)
Hrry(プロフ) - 頑張ります!!今から分岐に向けてラストスパートです!!! (2019年10月16日 17時) (レス) id: 94eb334c47 (このIDを非表示/違反報告)
ぽこぽん(プロフ) - 続編来ましたね!!Hrryさんの小説、大好きです!此れからも楽しみにしてます!無理しない程度で頑張って下さいね♪v(*'-^*)^☆ (2019年10月13日 21時) (レス) id: b37f06fbda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hrry | 作成日時:2019年10月13日 15時

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