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だれ。 ページ21

目を覚ませばあたりは真っ暗で
視界になにも入らない。闇しかない。
だいぶ暗闇にも目が慣れて知らない家にいることがわかる。
けれど、ここが誰の家かは隣で寝ている陣平さんを見れば簡単にわかることで。
きっとあの後ここに連れてきてくれたのだろう。

怖い、暗闇が怖い。
そんなこと、初めて思った。
お母さん、お父さんを思い浮かべれば
ここは深い闇の中に落ちたのではないかと
1人になったんだと、思うのが怖い
怖い、怖い怖い、怖い。ただひたすらに怖い。
喉からヒュッと音が鳴った。

松「…ん、A?おい、A!!A!?」

「じ、ん、ぺさ、」

息が上手くできない。
助けて、と縋りつけば過呼吸か、と問われる
そんなの分からない知らない。
けれど苦しい

「じ、んぺ、さっ」

苦しさから涙も流れてうっすら意識すら
危うい。
ねぇ苦しい、助けてお母さん、お父さん。

「おがぁ、さん、お、とぅざ、ん」

手探りで電気をつけた陣平さんの顔は渋い
大丈夫だから落ち着けと抱き竦められても
自分で自分にそう言い聞かせてもどうにも
止まらない。

松「くそっ…」

そう呟いた陣平さんが、私の顔を無理やりに
上げさせて思いっきり顔を近ずける。
息がいつもの数倍早く入っては逃げていく私の
唇に陣平さんが自分の唇を重ねる。

「んんっ!?」

離して、と胸板を叩いても離す気は無いらしく
背中に回された腕に力が入る。
その手は背中をトントンと叩いてくれる。
落ち着かせようとしているのだろう。
それから何分経ったか体感的にはそれほどの
長い時間が経ってようやく離された唇は
どちらのともわからぬ唾液でほんの少し
湿っていた。

松「ごめんな」

他に何がいいのかわかんなかった
萩原が以前に冗談で言っていたこれしか
思いつかなかった。
そう頭を下げて早口で捲し立てた陣平さん。

「ん、大丈夫、ありがとう」

ちょっと、暗いのが怖くて。
そう言えばじゃあつけたままで寝るかと
もう1度ベットへ2人で沈む。

曖昧な立場→←娘



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Hrry(プロフ) - ほのかさん» 幸せにします!絶対!ありがとうございます!! (2019年10月19日 19時) (レス) id: 94eb334c47 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか - 夢主さん、頑張って!胸がギュってなるぅ・・・。凄く切なくなるけど、幸せなラストを待ってます!Hrryさん、頑張ってください! (2019年10月16日 22時) (レス) id: 949a14dbde (このIDを非表示/違反報告)
Hrry(プロフ) - 頑張ります!!今から分岐に向けてラストスパートです!!! (2019年10月16日 17時) (レス) id: 94eb334c47 (このIDを非表示/違反報告)
ぽこぽん(プロフ) - 続編来ましたね!!Hrryさんの小説、大好きです!此れからも楽しみにしてます!無理しない程度で頑張って下さいね♪v(*'-^*)^☆ (2019年10月13日 21時) (レス) id: b37f06fbda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hrry | 作成日時:2019年10月13日 15時

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