せーんぱっ！？

おい、後輩 ページ45

伊｢大好きだよ、ごめん、もう寝る
それがむしろ本命で伝えたい事だったんだろうが
美羽ちゃんが最初の会話から順を追って話をしてくれたおかげで2人は聞いてないんだよ
美羽ちゃんと別れる前の会話は順を追って話せば自然と最後になるからな
最初に、うわ言のように呟いてた助けて、の
ところだけを聞いて2人は走り出したからな｣

寝る、の意味を訪ねるほど子供じゃない
あの容態だったのだ、死を覚悟することも
普通なのかもしれない。
きっと僕がその立場であってもそうなるはず。
けれど、後輩が、僕の大切な友人が
仲間がそれを覚悟していた、という事実が
胸に突き刺さる。
ズキリ、ズキン、なんてそんなもんじゃない
心臓の一部をえぐり取られたような痛みに襲われる。

松｢ん、だよ、それ｣

松田の独り言のようなそれにAの泣き顔が尚更歪む。
自分の決めた答えの結果が良くないことであるという自覚はあるらしい。
まぁそれがあるだけでもいいのか、
それともそれがあるというのを見越して
怒るな、と伊達は言ったのか。
怒るなと言われた以上、約束をした以上
それを破ることなど出来なくて。
けれど今口から出かかる言葉達は全部、
全部全部、Aを責めるような事だ。

萩｢うん、そっか。あの怪我だったもんね
しかたない、生きているのが驚きだって
先生も言ってたしね。そりゃ覚悟もするよね｣

リクライニング機能で背部ごと
体を起き上がらせたAの髪を指で梳きながら寂しそうに笑う萩原。

萩｢怒んないよ、約束だから。
でもその事実はあんまりに悲しい
おいていくつもりだったんでしょ、俺らを
避けに避けて俺らに何も話さないで
勝手に居なくなるつもりだったんでしょ｣

怒りはしないといいながら責めるような
言葉を並べる萩原に松田が制止をかける
それに怒ってないよと萩原は返すけれど
誰がどうみたって怒っている。

萩｢怒ってない、…情けないけど
寂しくて、もしあのままAが死んでたら
俺、きっとあと追ってたよ
そのくらいお前が大事で愛おしいんだよ
だから、怒んないから、泣いてもいい？｣

そう言って萩原は髪を梳いていた手を止め
両腕を開いた。

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