せーんぱっ！？

なぁ後輩よ。 ページ44

降｢何の話だ？｣

松｢俺らは知らないってなんだ？｣

萩｢美羽ちゃんの伝言まだあったの？｣

諸｢そもそも伝言ってなんの話なんだ？｣

こうなったら意地でも聞くまではめんどくさいと俺は知っている。
そして多分Aも知っているだろう。
身をもって。

だがしかし、ここで教えていいものかと
少し頭を悩ませる。
過ぎた事だ、俺はこれを問題にするつもりも
これを理由にAを怒るつもりもなかった
けれどきっとこいつらはそれを怒るだろう
どういうつもりだ、と詰め寄るだろう
実際俺だってあの場で美羽ちゃんから聞いた時は冷たい汗が流れ、上司の制止を振り切って
突入していったふたりの後をかけてその場で
殴って説教したいくらいには焦った。
けれどその後聞いたAの容態で正直
死を覚悟するはずだと納得してしまった部分もある。
そんなことより俺はどちらかと言えば
死を覚悟した時誰を、何を思ったのかが
聞きたかった。

伊｢怒らないと約束するなら言おう
できないやつが1人でもいるなら言わない｣

こいつらが怒る理由はわかっている。
大事なやつだからこそ怒るのだとわかっている
怒らない、と約束させるのが卑怯と知っている
けれどきっと今説教は必要ない
Aは誰が何も言わなくても自分の選択が
間違えであったことも
それでどうなるかという結果もわかっている
それこそ死ぬほど後悔するくらいに。
顔に書いてあるんだよ、Aはわかりやすいから。

ムスッとしながら、怒るような案件なんだな
とボソリといった降谷も
なんとなく察して微妙な顔をしている諸伏も
半分以上のことを察した萩原も
なにもわかってない松田も渋々ながら納得したけれど
ここにいるやつもれなく全員がお前が大事で
大切なんだ。

たとえ約束を破ってこいつらが怒っても
A、嫌いになってくれるなよ
そう意味を込めて頭を撫でる。


本当に生きていてくれてよかった。

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