せーんぱっ！？

こーはい、 ページ41

諸｢萩原、それとって｣

5人がここに集まるのはもう習慣のようで。
仕事終わり、面会制限を無理言ってなくした
この個室に全員で寝泊まりすることも
もう何度目になることやら。
2週間目に突入しても目覚める見込みのない
Aにあんな怪我を負ったんだ、しかたないと
互いを励ましあって来たのも何度目か
絶対に目を覚ますから、大丈夫だから。と
泣き腫らした夜だってあったのだ。

萩｢どれ？｣

諸｢その赤いやつー｣

萩｢えー、遠いー。しかたないなぁ｣

本当はこのまま繋いでおきたかったんだけど
しかたないな、とAの手に重ねている手を離そうとした。

んだけど。

萩｢えっ…｣

微かに、だけどしっかりと
俺の手を握ったのはAの細く小さな手だった。

萩｢A！！！A！？！？｣

小さな反応だった。
けれどそれは俺にはとても大きくて。
嬉しくて、嬉しくて。ただそれだけだ。

伊｢おい、萩原！？｣

萩｢Aが俺の手を握ったんだ！ほら！！｣

未だにか細い力であるけれど
しっかり俺の手を握って離さない所を
見せれば、ガッツポーズをとってみたり
空いている片方の手を握ったり、名前を呼んだり三者三様それぞれの反応ではあったが
俺と気持ちは一緒らしい。

こうなって、初めて見る心からの笑顔の同期だった。

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