せーんぱっ！？

ねぇ、せんぱい ページ33

そんな考えが良くなかったのか
私の予想に反して次の爆弾は4階にあったらしい
5階だと思ってたのに。
それなら余裕で逃げ切れると思ってたのに。
それともあれか、偶数の階に設置してるのか
はた迷惑な。
などと心の中で犯人に対して悪態を
ついていても仕方ない。
全力で走り抜けるしかない。

｢ぁぐっ…｣

熱風が。
瓦礫の破片が。
痛い、あつい。

美｢おねえ、ちゃん？｣

｢大丈夫だよ、怖い？｣

抱いていた右腕に力が籠ってしまった
怖がらせてしまったかもしれない、
痛かったかもしれない。
ここで暴れられたら逃げるのが遅れる。

美｢怖い、でもママに会いたいから頑張るの｣

｢そっか、じゃあお姉ちゃんとお話してよう｣

息も絶え絶え、正直意識も少し不鮮明で
お喋りなんて余裕もないけれど。
私は警察官で一般市民を守る立場だ。
その恐怖も取り除くことだって仕事だ。

美｢お姉ちゃんも怖い？｣

｢怖いよ、けど美羽ちゃんと一緒。
お姉ちゃんも大好きな人に会いたいから頑張るの｣

美｢ママ？｣

｢違うよ、けど大好きな人。
サングラスかけてるかっこいいお兄ちゃんと
優しくてかっこいいお兄ちゃんなの。
大好きなんだ、お姉ちゃん、だから会いたいの｣

子供相手に何言ってんだと思う
けれどこの子の前だから言える本音だ。
だって隠してるんだから、避けてるんだから。

美｢じゃあお姉ちゃんの王子様なんだね｣





じわり、ほんの少し涙が滲んだ

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