【HQ】乙女ゲームじゃあるまいし！【オールキャラ】

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一瞬、音が消えた気がした。


「あ、えっと……」


私はなんてバカなことを聞いてしまったんだろう。咄嗟に謝れなかったことも悔しくて悲しくて、唇をきつく噛む。

何か言わなきゃ。でもなんて言えばいいんだろう。わからない。

ただひとつわかるのは、私の言葉が牛島さんを傷つけたってこと。


「……気に病むことは無い。お前に悪気がないのはわかっている。まあ他人にすすんで言うような内容ではないが」


そうは言われても、気になる。

牛島さんの顔は、お父さんを懐かしむような表情で満ちていた。
その中にちょっとだけ紛れている寂しさも、よくわかる。


「ご、ごめんなさい、私、その……気配りが、足りなくて」

「死別したわけでもないんだ。そんなに謝るな」

「でも……！」


後悔の念がどっと押し寄せる。

いつの間にか天童さんの拘束は解かれていて、牛島さんが私の頬に手を添えていた。

大きな左手。牛島さんはその手をじっと見つめる。


「ただ……俺がバレーをやるきっかけは、きっと父親にあった」

「……きっかけ…………」

「ああ。父は……空井崇は、白鳥沢でバレーをやっていたらしい。そして俺は、そんな父親に憧れていた。左利きの強みを教えてくれたのも父だ」


するりと、頬を撫でられる。

揺れる瞳が少し……ほんの少し、泣きそうな色を帯びている気がして。


私はそっと、自分の手のひらを彼の手に重ねた。

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