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「………………」
「ま、まって、うし、牛島さん、ちょ、速、歩くの速い……!!」
食堂を出て廊下を右へ左へ進む。
てかこの学校広い。かなりの移動距離に私はもう息も絶え絶えだった。日頃の運動不足乙。
牛島さんはまったく息切れしてないうえに私を気にする様子もない。
もう心が折れそう。がんばれ私。ミッションのためだ。
.
「……あれ?」
そのまま階段を上ったりしているうちに、別の建物に移動していることに気づく。
所々に見える貼り紙には、「白鳥沢学生寮」の文字が鎮座していた。えっここ寮なんだ。リッチだな白鳥沢。
きょろきょろしている私にはやはり目もくれず、牛島さんはズカズカと進んでいき、ひとつのドアの前で止まった。
「動くな」
「え?あ、はい」
いきなり声かけられた。認識されてたわよかった。
私が頷いたのを確認すると、牛島さんは扉を開けて室内へ入っていってしまった。
えっ なんだろう気になる。突撃していいかな。いややめとこめっちゃ睨まれそう。いのちだいじに。
言われたとおり動かずにいること数分。
「これ、着てろ」
ドアを少し開けた牛島さんが、ばさりと何かを投げてきた。
頭に被さった柔らかいそれから香る柔軟剤のにおい。頬に感じる優しい肌触り。
「……ジャージ?」
そっと手に取ってみれば、見覚えのある白鳥沢のジャージが目に入る。
「その格好では寒いだろう」
「……これ、牛島さんの…………?」
「あいにく女物の服は持ち合わせていないからな」
「……お借りしていいんですか?……あの、自分で言うのも何なんですけど……私、かなり怪しくないですか?」
「?」
ウッかわいい。大男の首かしげかわいい。プライスレス。
「えっと……パジャマだし、いきなり手とか握るし、騒ぐし……なんていうか、変な女が不法侵入してるっていうか」
怪しさ100点満点。帰りたい。
「……おい」
うんうんと考え込んでいると、急に牛島さんがこちらに手を伸ばしてきた。
「あっすみません殴らないでください」
「殴るわけないだろう」
流れるような動作で私の手から奪われたジャージが、優しく肩にかけられる。
「あ、ありがとうございます」
「……ああ」
呆れ顔に微笑みを滲ませた眩しい表情を見上げた、その瞬間。
__________ふと、見とれた瞳の奥底に、ちりりと焦げつく欲の色を感じた気がして。
「_____A」
気づいたときには、私の身体は大きな腕の中にいた。
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みずたまみさき - ちょ待てよ! で笑いました!面白いですねー! (2019年1月16日 21時) (レス) id: 88a569b2f9 (このIDを非表示/違反報告)
あさいち(プロフ) - 空燕さん» わあありがとうございます!及川さん、出てくるでしょうか……(ΦωΦ)更新頑張ります! (2018年3月17日 18時) (レス) id: c0e1aaafe3 (このIDを非表示/違反報告)
空燕 - すごい面白いです!もしできたら及川さんがいいなぁ〜なんて(((殴 更新頑張ってください(о´∀`о) (2018年3月11日 6時) (レス) id: 57e0c78c09 (このIDを非表示/違反報告)
あさいち(プロフ) - なぽこ。さん» わー!ありがとうございます!これから色々出てきますのでお楽しみに!(*´`)ちまちま頑張ります!励みになります! (2018年1月27日 19時) (レス) id: c0e1aaafe3 (このIDを非表示/違反報告)
なぽこ。(プロフ) - 面白いです!この作品大好きです!これからいろんなキャラが出てくることを期待して正座待機させて頂きます!更新ずっと待ってます! (2018年1月26日 12時) (レス) id: 987c9e14ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさいち | 作成日時:2017年2月12日 18時