【HQ】乙女ゲームじゃあるまいし！【オールキャラ】

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｢俺バレー部だからさ、時々ボール顔面に飛ぶときとかあるんだよ｣

｢へ、へえ……｣



私もバレー部(マネージャー)だけどあまりボールは飛んでこないですよ。

そんなセリフを乾いた笑い声に変える。



｢ここから烏野近いし、もしかしたらうちの部員がボール投げたのかな｣

｢あはは……｣



いや嘘なんですけど。ボールなんて飛んできてないし。




まあ誤魔化せたなら結果オーライだ。


ほっと息をついてから、アプリを起動したままだったことを思い出し、スマホに視線を落とした。





瞬間。






｢危ない！！！｣



強い力で引っ張られ、なにか温かいものに包まれる。


背後でひゅ、と風を切る音がした。





｢……ふー、セーフ。白咲大丈夫？｣

｢は、はい……？｣




何が起こったのかまったく理解できない。


ただ、混乱する視界の端に、見慣れた球体が映っている。



｢バ……バレー、ボール……？｣




ころころ転がるそれは、ちょうど菅原さんのつま先に当たって止まった。


まさか、これが本当に私の顔面に飛んできたのか。こわっ。



｢やっぱりお前らか！さすがにこの辺でスパイク練習はやめとけ｣


｢うわ、サーセン！！｣



菅原さんが声を掛けた先では、オレンジの髪の背の低い少年と黒髪の細身の少年が頭を下げている。

私にボールを飛ばしたのはあの人たちだろう。


2人はサーセンサーセンと繰り返して逃げるように去っていった。



｢……ごめん、アイツらウチの後輩でさ｣

｢バレー部ですか？｣

｢うん。ボールのこと、悪気は無いから許してやって。ちょっと熱心なだけだから｣



俺に飛ばしたのもアイツらかな、なんて苦笑する菅原さん。

そうですね、と微笑めば、吐息まじりの笑い声がつむじに降ってきた。




……ミラクルの連続で全てがいい方向に向かっていてヤバい。強運万歳。




｢……お、｣





盗み見たスマートフォンの画面に踊る文字に、私はもう1度心の中で万歳、と呟いた。




『ミッションが全て完了しました。』



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