制服ドリームフィルター4 ページ10
「及川さん、ドン引きされてますよ」
「えっなんで！？！？」
「いつ私が徹くんの彼女になったの。絶対やだからね」
「ぜった…………！？！？」
渡さんが私の表情を見て冷静に突っ込む。私も畳み掛けるとショックを受けたらしくそのまま徹くんは固まってしまった。もう放置でいいか、と思うといい加減私も部活へ行こうと一つ大きな溜息をついて頭を下げた。
「すみませんなんかお騒がせしました……皆さん練習頑張って下さいね。……次も負けませんよ？」
そう言ってにこりと笑って見せると皆さんも不敵に笑い返してくれた。
「それはこっちのセリフ。次、リベンジ楽しみにしてるから」
それを同じように不敵な笑みで返して、ようやく私はその場を後にしたのだった。
────────
「Aちゃん！！ちょっと待って！！」
体育館を出た直後に呼び止められて振り返ると復活したらしい徹くんが猛ダッシュで横へ来たのに私は目を丸くした。
「え、な、何？どうしたの？」
「……正門まで送ってく」
そう言うと徹くんは私手をさっと取り歩き始めた。それに僅かに周囲から声が上がる。思わずびくっとしてしまうと慌てて私は横の徹くんを見上げた。
「！？えっ？い、いいよ？一人で大丈夫だよ？」
「だーめ」
「………………」
僅かに握られた手に力が篭った気がした。それになぜか急に鼓動が跳ねて、私は繋がれた手から視線を逸らし地面を見つめながら歩く。そんな私の様子を見てか見てないか、徹くんが口を開いた。
「あーあ。これでAちゃんの可愛さが青城にも知れ渡っちゃったな〜……俺としては自慢したいのに知られたくないって思うから複雑」
「はっ……？何言ってるの徹くん」
「何って思った事。青城に来て欲しいって思ってたのにいざ来たら皆がAちゃんの事俺と同じように可愛がるのを見てちょっとイラついた。……可愛がらなくてもイラつくけど」
「……拗らせすぎじゃない？色んな意味で」
「知ってたでしょ」
「うんまあ……」
そう言うと私は黙ってしまう。皆がそうなのは、確実に徹くんが日々私の事を良いように言ってくれているからその効果が出ているのだろう。多分強烈な擦り込みみたいなものだ。
そんな事を考えていたら正門前について、そこでようやく徹くんは私の手を離した。
「残念、もう終わりかあ。Aちゃん今度デートしよ」
「お断りします」
「また即答！？」
「ほら、皆待ってるでしょ？早く戻りなよ」
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作者名：さくら | 作成日時：2020年3月29日 2時
