【HQ】烏野の「姫烏」短編集 (ページ21)

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Happy Birthday！ 2 ページ21

そして、それをこっそり行う時間もないと言うわけで今に至っている。どうせ祝うのなら誕生日のその瞬間はゆっくりお祝いしてあげたいし、ついでにこっそり進めたいというのもある。なので時間はここしかなかった。料理自体の仕上げはちょこっとお母さんにも時間のかかるものだけお手伝いの依頼をしている。完璧だ。

暫くして料理の仕込みを終えて部屋へ戻ると、机の上に置いてある包みに目をやる。散々悩んで買った徹くんへの誕生日プレゼントだ。
毎度思うけど男の人の趣味ってわかんないし、バレーにしか興味なさそうな徹くんの趣味は尚更わからない。意外に近くにいてもわからない事だらけだ。

「……喜んでくれればいいけど」

そんな事を考えながら夜中の3時、私はやっと眠りについたのだった。

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そのまま朝6時に目を覚まして部活へ行って、帰ってきて、時間は19日の23時半。
案の定「日付変わる瞬間はAちゃんと過ごす！！！」と完全に予想通りのセリフを吐いた徹くんはお風呂に入った後こちらへやってきて、私の家のリビングでソファーに座りテレビを見つつくつろいでいる。
私はお茶を用意してソファー前のテーブルに置くと、欠伸を噛み殺しながら徹くんの横へ座った。

「あれ、随分眠そうだね」
「ん？ん～、そうだね、言っても日付変わる前だし眠くなっててもおかしくはない時間だよ」

欠伸の時に滲んだ涙を横から徹くんがすっと指で拭った。流石に今日あまり寝てない事は言えないしと思いながらそう返すと徹くんはぽんぽん、と私の頭を撫でた。

「それもそっか。後もうちょっとだけ付き合ってね～」
「……本当徹くんも物好きというか、なんというか。私とは殆ど一緒にいるようなもんなんだから他の人と過ごしたらいいのに」
「俺はAちゃんと過ごしたいんです～」

まあわかってた返しではある。毎度毎度本当飽きないなあ、と思いながら、たわいもない会話をしつつ0時が来るのを待っていたけどその間にも睡魔は容赦なくやってきていた。やばい。相当眠い。

それでもなんとか日付けが変わるその瞬間を無事に迎えた。時計の長針、短針、秒針全てが12を刺したその瞬間、私は徹くんに笑みを向ける。

「───誕生日おめでとう、徹くん」
「うん、ありがとう！」

私が告げると徹くんは嬉しそうに満面の笑みを返してくれた。私はゆるゆるとソファーの後ろに手を伸ばすと、隠しておいたプレゼントの包みを取って徹くんに渡した。