【HQ】烏野の「姫烏」短編集 (ページ20)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:29,415 hit

Happy Birthday！ 1(及川) ページ20

「さて…………やりますか…………」

日時は7/19になった所、午前0時。私は台所に立って目の前にある沢山の食材を見つめていた。

「ほんっと、こっそり準備するのって難しいもんだなあ……というか、徹くんだから難しいのか……」

基本的に距離感がばりばりに近い困った幼馴染は、家が隣な事もあって、学校や部活を挟まない所でなかなか一緒にいない時間の方が少ない。
その為確実に家に帰っているこの夜中でないと準備が出来ないとは、と私は小さく溜息を漏らしながら食材に手をつけていく。

────────

「Aちゃん！！！俺の誕生日、ぜーったい空けててね！！！Aちゃんと過ごすって決めてるから！！！」
「…………そこに私の選択権はないの……？？」

すごい勢いで7月20日、土曜日のアポを取られたのが7月頭の話。まあ恐らく、というか絶対に言ってくるだろうと思っていたので元々部活以外の予定は入れていない。
部活は春高予選前という事もあって休むのは難しいけど、そこは予選に参加しないであろう徹くんも部活自体はあるので問題ないとして。
…………って、結局予定を言われる前に空けている自分はなんだかんだ言って徹くんの事が好きなんだなあ……と呆れてしまう。勿論本人には言わないけど。

「逆に俺以外と過ごすっていう選択肢あるの！？」
「いやあると思うけどね？なんでないと思うの。……まあ、まだ予定自体は部活以外は入ってないからいいけど」
「やった！！さっすがAちゃん！！こうなると部活がちょっとめんどくさくなる……」
「よく言うよ、そんな事思ってもない癖に。春高予選前だし、私も休めないからそこは仕方ないね」
「そうだね～、丸一日一緒にいたかったのになあ」
「ほぼ毎日会ってるのに……」
「それはそれ！これはこれ！！まあいいや、Aちゃんのアポは取れたし。じゃあ20日は絶対部活以外は予定入れないでね！」
「はいはい」

─────────

とまあこんな感じで強引にアポを取られた訳だけど、なんせ誕生日だ。誕生日は誰であれ盛大にお祝いしてなんぼ！と思っているので手は抜かない。……ほんのちょっと、徹くんだから特別、っていう部分もありつつ。

で、なんでこんな時間に料理の仕込みなんかを始めたのかと言うと、まあこれは私の予測ではあるけど、多分というか絶対、徹くんは日付が変わる瞬間にここにいる気がするからだ。かつ、当日は夕方までお互い部活。準備をする時間がない。