【HQ】烏野の「姫烏」短編集 (ページ17)

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期末テストと攻防戦(Side牛島)1(牛島) ページ17

視界へ入った姿に一瞬目を見張る。人違いかもしれないがと思いながら近付けば、人違いではなく見知った姿。

図書館の勉強ブースにて、彼女──姫烏は気持ち良さそうに寝息を立てていた。

【期末テストと攻防戦(Side牛島)】

ここは勉強をするブースの筈で、恐らく彼女も勉強の為に来ているのは間違いない。先日本屋で会った時も教える為用の参考書を探していたし、机の上には綺麗に中身が纏められたノートが開きっぱなしになっている。
白鳥沢を一般で受験して合格出来るぐらいの成績の持ち主なら烏野においてそこまで苦労する事は恐らくないだろう。なのに今寝てしまうぐらいテスト勉強に根を詰めたのか……あるいは勉強を見てやっている部員の出来がすこぶる悪くて疲れが溜まったか。

それか、あの面倒な幼馴染……及川に振り回されたか。

それを考えた時に自分が少々苛ついたのを自覚しながら俺は彼女の横の机に鞄を置き、彼女の様子を見る。

寝ているからか随分と幼い印象を受ける。
と、彼女の寝顔に見入っていると緩やかに冷たい風が吹く。エアコンの冷気かと思うと俺は持っていた制服のカーディガンをそっと彼女の肩にかけた。ニットベストすら着ていないのではこのままだと冷えるだろう。

そのまま横の机に座ると鞄からノートや教科書、筆記用具などを出すと元々の目的だったテスト勉強を始めた。

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時刻は1時間程経って17時。不意にバイブレーションの音が小さくして俺は教科書から顔を上げた。見ると彼女の机の教科書の上で携帯が光っていた。ディスプレイに見えた電話主は「徹くん」。──及川か。

一瞬彼女を起こそうかと手を伸ばしかけたが、彼女は全く携帯が鳴っているのにも気付かずに気持ち良さそうに眠り続けている。
俺が来た時には既に寝ていた事を考えると少なくとも1時間以上は寝ている筈だが、起きる気配がないという事は余程疲れているのだろう。俺は起こすのを止めた。

…………及川と喋られるのもなんとなく気に入らない。

そしてそのまま再び教科書へ視線を落とす。間2度程恐らく及川から電話が来ていたが、俺は彼女を起こす事なくそのままにしておいた。

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調べたい事があって本を探しに行って戻ると、彼女は漸く目覚めたのか俺のカーディガンを広げて首を傾げていた。起きたら自分のものではないものが身体にかかっていたのだから不思議にも思うだろう。