検索窓
今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:29,418 hit

後悔と煌めきと1(及川) ページ1

「………………」
「………………」

青城との練習試合の後。徹くんの部屋でテーブルを挟んで2人揃って黙りこくっていた。

宣言通り徹くんは私の家の前で私の帰りを待っており、家に入る間もなくそのまま連行されて今に至る。

だがしばらく経っても徹くんはテーブルに右肘で頬杖をついて別方向を見たままだ。何故かずっと黙っている。
最初のあの感じを思い出す限り、もっとわーっと色々言ってきても良さそうなのに……返って黙っていられるのも怖い。なんなんだろう。
そんな事を考えながら何か喋ろうかと口を開きかけた時だ。

「…………今日、どうだった?」

不意に問いかけられて私は目を丸くした。
「今日……練習試合を観た全体的な感想、って事……?」
「……そう」
徹くんは視線を合わせない。なんとなく居心地の悪さを感じながら私はぽつぽつと話す。
「ん…………そう、だね。私、あんなに近くで試合見た事なかったから……凄いと思ったよ。烏野の事を言うなら、翔陽くんと飛雄くんの攻撃も凄いと思ったし、龍之介先輩も……蛍くんも大地先輩も力先輩も。数年前に見た徹くんの試合と比べたら、なんて言うのかな……凄く自由奔放というか、凄すぎて何がなんだか」
徹くんはそのまま黙って聞いている。これを言うなら今しかない、と私は視線をテーブルに下げて続けた。

「あ、あのね。比べておいて言うのもなんなんだけど……私中学の時あんまり徹くんの試合、ちゃんと観てないの」

「知ってる」

「え?」

これは一大決心をして言った事だったのだが、まさかの返答だった。気付かれてた──?目を丸くする私に徹くんはこちらへ視線を向けた。

「知ってたよ。Aちゃんさ、俺の応援してくれてる女の子達の事あまり好きじゃなかったでしょ」
「…………うん」
「本当それが嫉妬から来るものだったら俺喜んだのになー!」
そう言って徹くんは笑うとそのまま続けた。
「多分、俺の知らない所でいいように言われてないのかなとはね。だから同じクラスの後輩には目を光らせておいてほしいって言ってたし、俺もAちゃんをいつも以上に可愛がって、こんなに可愛がってる子に何かしたら許さないぞ、っていう牽制をしてたつもり。──でも、俺らがいない時に遠巻きにでも何か言われてばかりならいい気がしないのは当たり前」

「………………」

徹くんの言葉に目を見張る。だから皆遠巻きで、直接的な被害がなかったのか……と当時謎だった状況が理解できた。そういう事だったんだ。

後悔と煌めきと2→



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 愛され , 逆ハー   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さくら | 作成日時:2020年3月29日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。