合宿終了。1 ページ14
散々騒ぎあった後、改めて挨拶をして今度こそ音駒と別れた。
試合をした時間は短かったが、因縁の相手との試合はとても濃い内容で……最後の挨拶の時はそれぞれが色んな感情を滲ませて別れの時を惜しんだ。
そして、球技場から歩いて烏野高校へと戻る。
傾きかけた陽が黙って歩く皆の影を長く地面へと落とした。
「…………今日のが公式戦だったら」
不意にぽつりと飛雄くんが呟いた。それに周りのメンバーが視線を移す。
「1試合目、負けた瞬間に終わるんだ。ぜんぶ」
「…………」
───そうだ。その通りだ。
今日は練習試合だったから再戦が可能だった。これが公式戦だったら……あの瞬間に全てが終わってしまう。それが、真剣勝負の世界。
分かっていたことだけど、重い───
「………知ってる」
「──そーだ、わかってんじゃねーか」
翔陽くんが静かに返すと鵜飼監督もそれを受けて声を上げる。
「そんでその公式戦……IH予選はすぐ目の前だ。さっさと戻るぞ、今日の練習試合の反省と分析と、そんで練習だ」
『あス!!!』
感傷に浸る余裕なんて元々烏野にはなかった。目の前に迫りくるIH予選に向けて、今やれる事を全力で。
烏野高校の体育館へ戻ると、夜遅くまでかけて音駒との練習試合の反省と分析をし、皆が練習している中私と潔子先輩は鵜飼監督と武田先生とそれをノートへ纏めていった───
──────────
『お疲れ様でしたーっ!!』
21時前、漸く合宿の全日程が終了する。片付けも終えて体育館外、改めて皆で挨拶をしては正門の方へ歩き始める。
「あっという間だったな!」
「本当に。終わったらあっという間だったね」
「ああ」
まだテンションの高い翔陽くんに元気だなあと思いながら声をかける。飛雄くんは少々疲れ気味に返事を返してくれた。
「1年生は初めての合宿だったけどどうだった、楽しかったか?」
『ハイ!』
「俺はしんどかったです……」
「まあ、合宿だからこんなもんかと」
「色々勉強になりました!」
大地先輩の言葉に1年生メンバーがそれぞれ返答を返していると──
『あ』
旭先輩と孝支先輩の声がハモった。視線を前へ向けた大地先輩が苦笑する。
「ああ……あれだ、デジャヴだなこれは」
「うわっ」
「あっまたこのパターンなんだ」
「ちょっとお姫サマ、あの人同じ登場の仕方しか出来ないの?」
「ああー………」
それぞれ好き勝手言っていると、前回同様私を迎えに来てくれたらしい徹くんが顔を引きつらせていた。
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作者名:さくら | 作成日時:2020年4月5日 20時