試合の後の一時2 ページ12
「え?あ、うんなんか褒めて欲しいって言われたから……試合中に思っていた事をそのまま……」
「いや何素直に応じてんの」
「えっ、でも健闘を称え合うって大事だと思うし」
「………………」
私の言葉に正に
『こいつ何言ってんだ』
と言わんばかりの表情を残して蛍くんは行ってしまった。えっ何!?何がダメだったの!?
「あっAちゃん大丈夫だよほらアレだよ、後でツッキーも褒めたげて。多分拗ねてるから」
「それはないんじゃない!?」
ひょこっと後ろからやってきた忠くんが通りすがりがてらそう言うが、蛍くんはそういうタイプではないだろう。単純に敵を褒めたのが気に入らない、な気がする。
「いや、案外あるかもな」
「おれもそう思う!自分が認めた「お姫サマ」の言葉は欲しそう」
「ええ…………」
飛雄くんと翔陽くんが頷いている。そもそも外で見てるだけの私に褒められた所で特に蛍くんは嬉しくないと思うけどな……と思いつつ、後でお疲れ様は言っておこうと心に留めた。
「いいなあお姫サマとか……やっぱ華やかだな!」
「そうだろ!?うちの女王烏と姫烏、いいだろ!」
「えっ何それなんかかっこいいね……!!」
「そっちも女子マネ勧誘したらいいんじゃないのか」
「それいいな……研磨、うちも戻ったら勧誘するか」
「いやそれはクロに任せるけどさ……」
だんだんと話が盛り上がってきている。少しすると試合の話も始まったので片付けを再開する事にして、私は頭を下げると楽しそうにしているメンバーから離れた。
粗方コート内の片付けは終わったようだったので後は細かい荷物チェックか、とベンチ付近に置いてあった鞄の中身をチェックする。周りの荷物も片付けて、と動いていると大地先輩と旭先輩が戻ってきた。
「あ、お疲れ様です!お二人共大活躍でしたね……!!」
「Aちゃんもお疲れ様」
「完敗だったけどな……!」
旭先輩は同じように労ってくれ、大地先輩は悔しそうな表情だ。
「でも、いい勝負でした!」
それでもきっぱりと私が言い切ると、二人ともニッと笑ってくれた。
「そうだね。……次は勝つよ」
「おっ?頼もしいなあ「エース」!!」
「あいてっ!いててっ」
「頼もしいです!!流石「エース」!」
「い、いててて、お、おう!」
大地先輩が旭先輩の背中をばしばしと叩く。痛がりつつも力強く頷いてくれる旭先輩に笑いつつ私も頷きながら言った。そうだ、次は。
────次こそは、烏野が勝つんだ。
240人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくら | 作成日時:2020年4月5日 20時