【HQ】烏野の「姫烏」17 (ページ27)

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決勝戦・VS白鳥沢学園 2 ページ27

「決勝が初って事は、5セットマッチも初ですか？」
「5セット？」
「今までは2セット先取3セットマッチだったけど、決勝は3セット先取5セットマッチ。TVとかで見るトップレベルと一緒な」
「ええ！？めっちゃ疲れるじゃん！！」
「それな……スタミナも心配だ……」

ふと気付いたように明光さんが呟くのに、紗子さんと嶋田さんの続く会話を聞きながらやっぱそこだよね、と内心僅かに心配を覚える。

今まで烏野は3セットマッチしか公式ではした事がない。
東京での遠征や合宿ではひたすらぐるぐる回って対戦をして行っていたけどそれともまた違う。
色んな意味で初めてが多い分、状況としては烏野の方が不利ではある。

『観客の皆様両チームの健闘に盛大なご声援をお願い致します』

ここで再び流れるアナウンス、それに合わせて拍手や声援が沸き起こった。
下の方ではメンバーが円陣を組んでいる。と、ここで大地先輩がこちらを見上げたのにぱしっと目線が合う。目を丸くしていると小さく頷いたのにハッとした。すぐに横にいる仁花ちゃんのジャージの袖を引っ張る。

「仁花ちゃん」
「！あ、はいっす！！」

仁花ちゃんは慌てて頷くと、大きく息を吸った。私もそれに合わせて大きく息を吸う。

大地先輩と私と仁花ちゃんの声が同時に響いた。

『烏野ファイッ！！』
『オアース！！！』

気合一発。下にいるメンバーがこちらを見上げてそれぞれ親指を立てて不敵な笑みを向けてくれる(蛍くんはちらっと見上げただけ)。それに仁花ちゃんと2人で同じように満面の笑みで親指を立てて返す。

ホイッスルの音が響き、1セット目が始まった。

─────────

最初のサーブは大地先輩。今までとは違うスタートで、滝ノ上さん曰く牛島さんに出来るだけ高い壁がマッチアップする様にじゃないか、との事だった。

大地先輩のサーブはギリギリの所でアウトになり、続く白鳥沢のサーブはネットインし、それを拾おうとした旭先輩と龍之介先輩がお見合いとなって結局ボールを落としてしまった。

「お見合い……！！」
「やっぱ固いな烏野……！」

それを仁花ちゃんとはらはらしつつ見下ろしていると、突然怒声が飛んできた。

「───おちつけええええ！！！自滅してる余裕無えぞオアア！！！何にビビってやがるテレビか！！！浮かれてんじゃねえええ！！！」
『！！？！？』

驚いて観客席もコートのメンバーも皆で肩を震わせる。声の主はまさかの孝支先輩だった。