【HQ】烏野の「姫烏」17 (ページ13)

今日:12 hit、昨日:2 hit、合計:66,115 hit

どう思った？ 2 ページ13

言葉で弱音を吐きにくくさせてしまったその償いも込めて。言葉で聞けない分、せめて態度は──

と思ったその時だ。

「ねえAちゃん。俺今日色んな意味で心が弱ってるな～って思うから癒しが欲しいんだよね」
「？はあ」

突然の言葉に思わずきょとんとして間抜けな声を上げてしまう。何急に、と問い掛けようと顔を上げると、そこには真剣な表情でこちらを見下ろす徹くんの顔があって息を飲んだ。本当に、急に何──？

「だからさ」
「…………」

何を言うのかと固唾を飲んで見守っていると。

「…………今日一緒に寝たいなあって」
「お断りです」

次の瞬間、徹くんから出た言葉に間髪入れずに返事を返してしまった。それに徹くんも負けじと間髪入れずに悲痛な声を上げる。

「えーっ！？なんでーっ！！今日はいいでしょ今日は！！！」
「いやっ、何が今日はいいでしょ、よ！！！なんかもう色々心配して損した！！」
「誕生日の時は一緒に寝てくれたのに！？」
「ちょっと！！誤解を招くような言い方やめてくれる！？あれは不可抗力です！！そもそもあれも一緒に寝るって言った覚えないからね！！」
「やだ。もう決めたもん。今日は一緒に寝る！って事でお風呂借りまーす」
「はあ！？ちょっと！？ちょっと徹く────」

結局こっちの返答なんて関係なし。あっさりと徹くんはそう言うと私を一旦離し、お風呂へと行ってしまった。取り残される私。

「…………ほんっと心配して損した…………」

結局良いようにダシとして諸々を使っただけなのでは、と半端ない程の脱力感を覚えては、私は疲れたように呟いたのだった────

────────

「Aちゃん」
「嫌です」
「Aちゃんってば」
「…………」
「Aちゃーん？」
「………………」

ベッドの中、ほぼほぼ壁にくっつくような形で私は壁側を向いて、徹くんの呼び掛けを冷たくあしらっていた。
いや、あしらっていた、と言えば余裕のある態度に聞こえるかもしれないけど実際問題全くそんな事はなかった。同じベッドの中に徹くんがいるという事実は相当私に恥ずかしさと緊張感を与えていたからだ。

結局押し切られてしまって2人でベッドに入るまではいったけど、何これ本当にやばい。前の徹くんの誕生日の時は私が寝落ちしてしまって、結果的にリビングのソファーで一緒に寝る羽目になってしまった事があったけど、あれとは訳が違う。なんならもう今一瞬で眠りにつきたい。